インタビュー

岡崎 智哉 大阪 96期 S級2班
流れに逆らう秘策は「増量」
 ギア規制から3か月が過ぎ、上位選手はさすがの対応力で以前と変わらず高いパフォーマンスを見せている。大ギア用に改造を施した肉体は、必然的に再改造を余儀なくされているというのに。ほとんどの選手がトルクを求めて増やした体重を落とす作業から始めたようだが、岡崎はこの流れに逆らって目下増量中なのだ。なるほど、4月の高知記念はずいぶんふっくらした顔で参戦。「今年に入って意識的に増やしています。1回止まったけど、最近3キロくらいまた増えて、全部で6キロ近く。今は81キロだが、もっと増やしたい」。それにしてもなぜ今、ウエイトアップなのか。

岡崎 智哉 大阪・96期
 岡崎といえばパンチの効いた自力が持ち味。昨年3月の取手FIでS級初優勝、7月の「寬仁親王牌」は2日目からの補充ながら、GI初出走も経験した。今後が期待される近畿のホープだ。「自分が強くなるイメージはあるんです。でもそのイメージはまだはっきりしたものじゃない。今はいろいろ試しながら、それをつかんでいっているところ」。オープニングレースの初日一次予選1Rは、中団から鋭くまくって1着。だが、わずかに末を欠き志村太賀(山梨)に追い込まれての同着白星だった。2日目二次予選10Rは打鐘過ぎに先行したが粘り切れず5着。敗者戦回りの3日目は最終ホームからのカマシが決まって2勝目を挙げた。「セッティングは毎回変えていました。シューズも換えたし。感触としては、負けた2日目が一番よかった。まだ粘りが足りないけど、上向いているのは間違いないんです」。試行錯誤は続いているが、一戦ごとに手応えを感じているようだ。
 冒頭の疑問に対する岡崎の答え―。「大ギアに踏み負けないために増量した選手は、それまでに完成していた選手。だから、体重を減らしても同じ走りができる。自分はそのレベルに達していなかったから、これから体を作っていかないといけないんです」。すべては、目指す理想の自分へ近づくため。「大阪は稲川(翔)さんがGIを取って、南(修二)さんも上位で戦っている。後輩も(古性)優作、大竹(歩)、(北川)大五郎…みんな頑張っているし、助言をもらうこともある。引退した郡山(久二)さんが指導員として練習を見てくれるのもありがたいですね」。GIの舞台で活躍するための環境は整った。最終日9Rは積極駆けに出て主導権は奪ったが、粘れず9着。悔しさを押し殺しながら「守ろうとしたらダメ。満足しないように」と、前だけを向いてさらなる進化を目指していく。


高知競輪場より