インタビュー

畑段 嵐士 京都 105期 A級2班
練習は本番のつもり。本番は練習のつもり
 やる時はやる―。普段はどこかぼんやりした雰囲気の男だが、勝負どころでは持っている力以上のものを出せるタイプだ。4月12日のルーキーチャンピオンレース(西武園)。目標の野口正則(奈良)が不発と見るや、自らタテに踏んで、最後は外側から差し切った。「みんなからおめでとうと言ってもらえてうれしかった。周囲は僕のことを勝負強い選手と評価してくれるけど、僕自身は全く意識してない。それがいいのかもしれませんね」。大一番でも緊張はまったくしない。戦うこと自体が楽しくて仕方がない毎日だ。

畑段 嵐士 京都・105期
 そんなマイペースな感じもする畑段だが、やはり勝負師としての考えはしっかり持っている。「練習は本番のつもり。本番は練習のつもり」と、自転車の乗った時の心構えはいつも同じ。レーススタイルも先行することよりも勝つことに重きを置く。「プロですからね。僕の車券を買ってくれるファンがいる以上、いつも勝つレースをしなければいけないと思います」。
 現在の課題はスピード。高校から大学の途中まではロードの選手だったため、ダッシュやトップスピードの不足を感じている。「高校がロードしかない学校だったんです。今となっては地脚が付いてよかったのですが、このままではS級に上がってもスピードで通用しない。一度S級に上がったらA級には落ちたくないですからね」。練習では力まないように踏むことを意識している。
 ここまでの歩みは順調そのもの。昨年10月には落車して初めて鎖骨骨折するアクシデントも経験したが、それも競輪選手人生の1ページと割り切る。いい意味で楽観的で、前だけを見つめる。「競輪学校時代のタイムが良くなかったから、チャレンジは競走得点でしか卒業できないと思っていた。それなのに特別昇班できたのは意外だった。理想とする選手はいないけど、どんな展開でも届いてくる選手になりたいですね」。この逸材はこれからどんな輝きを見せてくれるのか。楽しみな105期生である。


四日市競輪場より