インタビュー

近藤隆司 千葉 90期 S級2班
トップクラスへ上昇中!
ひと皮剥けようと必死にもがいている。すでに剥けたかもしれない。2月松戸から3月四日市まで3連続優勝を飾った近藤。驚くことにその内8勝で2着が1回。すべてFIと言えども、ここまで強いと上のクラスでの活躍が期待される。まずはGIII川崎。動きの良さは相変わらずで難なく準決に進出。その準決は深谷知広、浅井康太の前に屈し惜しくも4着。それでもスピードは良く、もったいないといった印象だった。ただ、川崎を見る限り、FI3連続Vは理解できた。着実にFIレベルを脱していた。

近藤隆司 千葉 90期
初のGII参加になった「共同通信社杯」。前検日から多くの報道陣に囲まれた。「緊張はしません。普段通りの走りをするだけですから」と並みいるトップレーサーを前にしても臆するところは全くなかった。開催自体は1次、2次予選は自動番組。初日は11R。平原康多や木暮安由らと対戦する激戦。まして平原は自力でなく小原唯志を目標にできる利点もある。人気はもちろん関東勢に集中したが、4番車の近藤からもそこそこ売れていた。ファンも近況の良さ、川崎での内容を分かっているからこそのオッズになっていた。33バンクなだけにレースは青板から動いた。ハイペースで飛ばす小原。近藤はといえば後方8番手。どう考えても難しいと思われたが、最終2コーナーから仕掛けると抜群のスピードを見せた。番手の平原がまくるもなにも、その外を悠々とまくってしまった。2着の平原との差は4車身。「後ろになったけど焦りはなかった」。平然と言ってのけた。最低でも準決勝、いや今のデキなら決勝に進んでもおかしくないと思わせた。2次予選は新田祐大、稲垣裕之、原田研太朗と好調な選手が相手。これだけ強い近藤だが、何と味方はゼロで単騎。古性優が飛び出し番手は稲垣―川村晃。5番手に新田。近藤はといえば9番手。1次予選より位置が悪くなっている。それでも期待を抱かせたが7着。「力の差は感じていないけど、展開というか自分のミス」とガックリ。3日目は2着、最終日は4着でシリーズを終えた。「本当はもっと早く行かなければいけないのに、一瞬の判断、それがこのクラスだと命取りになる」。FI、GIIIとは明らかに違う大会で今後につながる経験はできた。
以前はまくりのイメージが強く展開に左右されていた。しかし最近は先行回数も増え、結果的にそれが安定した成績につながっている。昨年、転機と言うと大袈裟だが、きっかけが訪れていた。短期登録制度で来日していたパーキンスとドミトリエフの影響があった。「一緒に練習する機会があったのですが、自転車に対する考え方、取り組み方、すべてにおいて驚いた」。そこから目覚めた? 今までの自分を振り返り、このままじゃ並のS級選手で終わってしまう。1年以上、時間はかかったが意識改革がやっと目に見える形で表れ始めた。「行くとこで行く。コンマ何秒の世界、そこが勝負の分かれ目になる」。共同通信社杯で学んだことだ。後半戦でも近藤の動きからは目が離せない。天性のダッシュを生かしたキレのある戦いぶりは上位陣の脅威となろう。


防府競輪場より