インタビュー

早坂秀悟 宮城 90期 S級1班
競輪と競技の相乗効果
5月29日に決勝戦が行われた高知競輪の名物S級シリーズ「松村憲・松村信定 土佐の親子鷹杯」は、レースタイトルにふさわしく、元選手の悟さん(49期・引退)を父に持つ早坂のVで幕を閉じた。優勝インタビューでは「早くビッグレースを勝って、オヤジにプレゼントしたい」と少しはにかんで語っていたが、それもそう遠くない―そう予感させるだけの力強さを見せつけた。
高い競技力で長くナショナルチームに名を連ねている早坂だが、GI初出場は2年前の立川「日本選手権」。スピードを生かした先行力こそ抜群だが、FI開催の主力級…というのが周囲の評価ではなかったか。その殻を打ち破ったのが、今年2月の静岡「全日本選抜」。一次予選から積極的な仕掛けを見せて2、3着で勝ち上がり、準決勝も脇本雄太(福井)の向こうを張って打鐘先行。自身は7着に沈んだが、マークの菊地圭尚(北海道)を決勝に送り込んだ。

早坂秀悟 宮城 90期
早坂の本格化は、ナショナルチームでの活動によってもたらされていると本人も自覚している。4月の防府「共同通信社杯」直前には、「全日本トラック選手権」に参戦し、1000mタイムトライアルで1分3秒911の自己ベストを記録して3位。今回の高知の前にも別府「全日本プロ選手権自転車競技大会」で同種目に出場、渡邉一成(福島)、竹内雄作(岐阜)に次いで3位だったが、ここでも屋外の自己記録を更新する1分5秒031をマーク。これで「寬仁親王牌」の特選スタートも手に入れた。「忙しいと思う時もあるが、合宿や大会で自分が強くなっていくのが分かる。競輪にも生かせていると思います」。競輪はタイム競技ではないが、速さは強さの重要なファクター。それを活用する術を覚えたことが、進化する29歳を支えている。
高知FIの決勝は、タイトルホルダーの成田和也(福島)を従え、人気を背負ってのレースになった。「初日、2日目と自分の後ろがもつれたが、決勝は成田さんが単独で回ってくれて。自信を持ってやれと言ってくれた」。若手の伊藤裕貴(三重)、南関4車の先頭を任された岩本俊介(千葉)もやる気満々だったが「それなら2人とも前に出るはずだし、少しのスキを狙って」8番手からのカマシがズバリと決まり、最終ホームでは北日本2車で後続を大きく離す形に。詰め寄る成田の差しを許さず、押し切って6度目のS級優勝を果たした。
復調途上とはいえ、格上の成田から逃げ切ったことが、自信をさらに深める。一方で「(逃げ切りは)もちろんうれしいが、後ろが成田さんだから安心して駆けられる部分もあるんです」と、ラインの力も強調したうえで「この後、すぐに伊豆でナショナルチーム合宿がある(6月1~5日)。また自分が強くなれる。楽しみですね」と、トレードマークの笑顔を見せた。自身初参戦となる岸和田「高松宮記念杯」へ、勢い十分で乗り込む早坂から目が離せない。


高知競輪場より