インタビュー

101期 山本伸一 京都
近畿にまた一人、期待の機動型が現れた。
山本伸一、101回生の卒業記念チャンピオン。経歴はプロ野球の四国独立リーグで活躍していた。4月に生まれ故郷の京都に高知から移籍した。そして7月からは2回目のS級。端正なマスクに女性ファンは多い。

101期 山本伸一 京都
 S級初戦はFIではなくいきなりGIII記念。それも伝統ある前橋の「三山王冠」。正直なところ、どれくらいの実力があるかファンもマスコミも半信半疑だった。しかし近畿地区の選手から「山本は強いよ」の声が何人からも上がっていた。一次予選、強力な同型がいないとはいえ三谷政史を連れて赤板から前に出ると後続を完封。三谷を振り切って逃げ切った。「自分のタイミングでレースを作ることができました」と記念初勝利にも平然としたもの。二次予選。さすがに一次予選とはメンバーが違う。池田勇人に矢口啓一郎、大西祐。しかし山本は堂々としたもの。またもや赤板で先頭に立つと、中団の大西の捲りを不発にしたばかりでなく、池田は7番手から仕掛けることさえできない。マークした川木敬大も差せず2連勝。ドームという特殊なバンクを差し引いても強さは際だった。「ここに来る前、深谷(知広)君たちとしらびそ高原で合宿を張ったんです。初めてじゃなく何度も一緒にやっています。その成果かどうかわからないけど、凄く状態はいいですね」。初めてのS級時は目立った成績を残していない。それが大舞台で2日続けての逃げ切りとはファンも想像しなかっただろう。
 こうなると期待は高まる。決勝進出も現実味が帯びてきた準決。相手は天田裕輝、松坂洋平ら。格上相手に山本がすべきことは先行することだが、天田に主導権を奪われ、松坂に中団を奪われ7番手。キャリアが違うと言えばそれまでだが、一次予選、二次予選の気っ風のいい走りを期待していたファンを裏切る形になってしまった。4車落車があっての5着。無言で検車に戻ってきた。最終日は特別優秀。「準決が情けなかったので最後はしっかり自分のレースをしたい」。一度は赤板で先行態勢に入りながら流した瞬間、荒沢貴史に叩かれ5番手。荒沢は決して先行選手ではない。最終バックからまくり上げたが番手の佐藤慎太郎に合わされ万事休す。「油断があったのかもしれない。前に出たらスピードを落とさず行けば良かった」とガックリ肩を落とした。前半は文句の付けようがない競走。その反面、後半はいいところがなかった。「勉強になりました」とは素直な気持ちだろう。前橋が終わっての取手。予選は打鐘から仕掛け3着で準決の切符を手にした。しかし、その後は7、7着でシリーズを終えた。
 練習は向日町のほかに奈良やびわこで行い、三谷3兄弟との時間が多いらしい。そして時間が合えば深谷らと合流。向上心はある。「出切ってからのトップスピードの維持。これがまだ足りません」と言うが、それは更なる高みを目指しているから。101回生の卒業チャンピオンだが不幸なことにこの時は102回生・ガールズ1回生と同期。卒業記念レースでもマスコミの注目はガールズに集中していた。勝手な思いではあるが、それが今の山本を支えているかもしれない。京都にはお手本になる自力型の宝庫。恵まれた環境の中で山本がどこまで伸びるか見守っていきたい。


前橋競輪場より