インタビュー

長尾拳太 岐阜 103期 S級2班
 最終日の特選を1着で締めくくった。記念3度目の出場となった富山記念。最終ホームで4車が落車するアクシデントはあったものの、巧みに避けて最後はまくりで抜け出してみせた。「一発、狙っていこうと考えていました。仕掛けてなかったら、僕も落車に巻き込まれていたでしょうね」。一見、幸運に見えるアクシデント回避。しかし、8番手で動かずにいたら長尾も乗り上げて落車していたのは確実で、追い上げるために前に踏んでいたから記念初1着にもなった。

長尾拳太 岐阜 103期
 103期の在校成績2位。幼少期から神山雄一郎にあこがれていた熱烈的な競輪ファンが、高校時代の自転車競技を経て選手になった。ここまでは順調な歩み。しかし、今年から戦っているS級舞台では大きな成果を出せずにいる。競走得点も100点未満で決勝進出もなし。FIの予選を突破できるようになったのは最近で、記念の勝ち上がりもこの富山が初めてだった。S級の厚い壁にぶつかっているように見えるのは、周囲の一致した見立てだろう。
 だが、自己評価は大きく異なる。「さすがに記念の準決では脚の差を感じましたが、二次予選までは差がありません」と、自分の力がS級でも互角以上に通用すると感じている。さらに「見ている人には脚負けにしか見えないでしょう。でも、展開を逃すことで大敗しているだけ。S級にまだ慣れていないため、仕掛けどころを逃しているのが実情です。A級ならそれを逃しても力で勝ててしまうのですが」と、分析し説明してみせた。
 けっして強がっているわけではない。実際にこの富山記念でも好機に仕掛けて連絡みを果たし準決にも乗った。S級の戦いが少しずつ分かってきたから、二次予選も突破できた。「位置を取ったり、逃げる態勢を作って出させたりすることで結果が出てきました。流れも相手も分かってきましたからね。来期はA級に降級しますが、今期はS級点を取っておきたい。S級でS級点を取らないと本当のS級ではありませんからね。そして来期は最後のA級にします」。
 冷静沈着で勝負できる脚も併せ持つ22歳。車券妙味も十分にある選手だ。


富山競輪場より