追い込み先行
練習環境を変えてから、上昇気配なのが山田義彦。現在、久留米競輪場で練習しているが、その成果は絶大で、高いレベルで好調をキープ。今年も8月大宮で完全Vと勢いがある。きっかけは「昨年5月に武雄のS級シリーズから別府記念という配分があったのですが、わざわざ地元の埼玉まで帰る時間がもったいないと思った。移動する時間を練習に充てたい。近場で練習してみよう」と、久留米競輪場に脚を運んだ。そして臨んだ別府記念は①②⑨②の大好走。「いいかも」と、手応えをつかんだ。「もともと暑いのが苦手なんですけど、久留米はナイター練習ができるのが大きい。涼しい時間を選んで練習できますからね」と山田。久留米競輪取材中、室内練習場でパワーマックスを黙々と踏み込んでいる姿をよく目にする。マイペースで練習できる環境が山田にとってはいいのかもしれない。
山田義彦 埼玉 92期
「久留米を選んだ理由ですか? もともと江嶋康光(福岡、39期=引退)さんにマッサージをしてもらっていたんです。その流れもあります」。マッサージで疲れを抜いてもらったあとに「集中して練習ができています」。自分に合った調整方法を見つけたのが自信につながっているようだ。
さらなる高みを目指す山田は「今、課題にしているのは〝追い込み先行〟になることなんです」と言う。一瞬、理解に苦しむ表現だが「追い込み選手が前で駆ける自力型との車間を切って、別線のまくり合わせて踏み上げる感じで駆ける先行策」だと、説明してくれた。「それでも相手選手のダッシュが勝り、出切られたら番手に飛び付くという感じで抵抗する。そういう意味で何でもできる選手。イメージ的には平原康多さんみたいになりたい。そのために練習しています」。
9月小倉ナイター初日はカマす菅田和宏(宮城、88期)の3番手に飛び付き、11秒4のハイラップまくりで1着取りを果たしていたが「まだまだ。もう少し踏んで番手に飛び付くようにしなければ…」と、勝っても反省する。「目標は大きいほうがいいと思う。目標に向かって努力することに意味があると思いますから」と山田。実力的にグレードレースでも好勝負を演じるレベルまできているようだ。