インタビュー

矢口大樹 千葉 95期 S級2班
復活への道筋
 復活への道筋ははっきり見えた。今年、低迷が続いていた矢口が、再び持ち味の先行力を発揮し始めた。補充で出場した地元の千葉記念は先行2連勝でアピール。続く大垣記念の一次予選は藤木裕に番手嵌まられても4着に粘り込み、二次予選も突破してみせた。

矢口大樹 千葉 95期
 先行型の宿命とはいえ、繰り返された失速大敗。歯車が狂う最初の原因となったのが、今年1月の黄檗山での違反訓練だった。ここで体重が一気に減って87、88キロに。そのまま実戦に復帰したものの、走るたびに競走得点は落ちていった。「もっとも点数があった時の体重が93キロ。5、6キロ落ちてしまいましたからね」
  そして、さらに悪循環をもたらしたのが、その絞り込まれた体を維持したこと。ギア規制を見越してダイエットした選手の好成績が好奇心を刺激した。「食事を気を付けて肉体改造した近藤(隆司)さんが調子を上げていましたからね。せっかくやせたのだし、いい流れの人を参考にすれば自分もうまくいくだろう、と考えたんです」
 ところが、内容も結果も低空飛行のまま。減量は脚質によってプラスになる場合があれば、マイナスになることもあるのが分かった。「同期の山中(秀将)さんもやせて良くなかった。共通しているのは山中さんや僕のようなダッシュタイプの減量は向いてないということ。初速はいいけど、後半が踏み上がらずにたれてしまう。逆に地脚型の近藤さんは合っているのでしょう」
 原因が判明した以上は体重を戻すことに専念。1キロ増やして臨んだ9月・高松FI予選で窓場千加頼を中団からまくって1着。そこで増量の方向性が間違っていなかったことを確認すると、91キロで戦った千葉記念、大垣記念で手応えをつかんだ。「やっとゴールまで踏めるようになりました。それまでと練習は変えることなく1日6食で増やしたんです。競走得点が105点あった頃の体重まであと2、3キロですね」
 思えばこの2年は苦難続き。練習中のヒザの故障により成績急降下も経験した。しかし、ここから先は再浮上あるのみ。「兆しは見えてきました。やるべきことも固まってきましたから」。完全復活の日は近い。


大垣競輪場より