インタビュー

佐藤龍二 神奈川 94期 S級2班
もう少し。
 ほんのもう少しで一流レーサーの仲間入りを果たせる。ポテンシャルの高さはデビュー当初から絶賛されていた佐藤。恵まれた体格、それでいて器用に立ち回れる。魅力たっぷりの選手だ。1着を取った時の独特のガッツポーズを覚えているファンは多いだろう。
その佐藤がみぞれ舞い散る函館記念に参戦した。予選は千葉の坂木田雄介と同乗。「先輩の荻野さんもいるし自力も考えました」。結局、佐藤が番手を回り荻野が3番手を回った。徹底先行の工藤文や山田義相手に坂木田が先行。番手無風。これなら負ける訳がない。「本当は坂木田さんをもっと残さないといけない。自分が番手を回ったらライン全員が勝ち上がれるようにしないと」。1着スタートにも反省を忘れなかった。痛かったのが二次予選だろう。東北勢が木村弘―高橋陽―森田康で2段掛けの態勢。佐藤が分断に出ることは容易に予測できたが、その位置は3番手。森田を簡単にどかしたまでは良かったが、高橋と柴崎淳のまくり合戦に遅れを取り8着。「取りこぼしですね。ああいうところできっちり結果を残さないと上では通用しない」。残り2走も彼らしい入りは影を潜めた。

佐藤龍二 神奈川 94期
 昨年8月からプロゴルファーや一流のアスリートも通う「ハルスポーツプロダクション」の門を叩いた。「ハルメソッド」と言われる身体の軸を整え、運動機能を向上されるトレーニングを開始。「何て言えばいいんでしょうね。筋力や基礎体力をアップするトレーニングではなく、その力をどう出せるか。車に例えると排気量を大きくするのではなく、リミッターを大きくするみたいな」。要するに身体のバランスを整えることによる、どんな状況にも対応できる。競輪場なら直線はあるしカントがきついところもある。そこをどう走るかなんです」と力説した。
  このトレーニング効果によって成績は安定してきた。「決してそれだけではないんですが、大きな要因になっています。GIの舞台で目立ちたいし、タイトルも取りたい」向上心は旺盛だ。
  自在。いい言い方をすれば器用だが、逆に中途半端(失礼)になってしまう恐れもある。函館記念3日目のことだ。先行する稲毛健はもつれ、仕掛けるタイミングはあった。ペースが上がる前に仕掛けていれば…。「そこが僕の弱いところ。思い切って先行すればいいんです。今のままだと僕の戦法は対戦相手に読まれてしまう」佐藤=先行はない。飛び付きかまくり。こう思われてしまっては攻め方が狭くなってしまう。上のステージで戦うためには自分を変えていく必要がある。
  日々反省。しかし反省するだけでなく次にしっかり繋げていけるのが佐藤の特徴。来年3月に行われる「日本選手権」。佐藤は諦めていない。「最後の2か月で必ず賞金を上乗せしたい。いやします」。有言実行、一つ間違えれば大言壮語になってしまうが、佐藤に限れば、言ったことは必ず実現できる。


函館競輪場より