インタビュー

取鳥雄吾 岡山 107期 A級2班
親子鷹、はばたく
 日進月歩で進化中だ。7月にデビューするやA級チャレンジは、デビュー節の決勝2着をのぞいて取りこぼしなく特別昇班を決めた。9月からのA1、2班も順調に決勝進出を決めて、特昇後4場所目となる10月末の高松FIに挑んだ。「今度は優勝を狙う」と意気込んだ。初日に同期の吉田拓矢が松戸で9連勝のS級特別昇級を決めたのも刺激になった。

取鳥雄吾 岡山 107期
 迎えたA級決勝。いつも通り主導権を取りに前へ、前へ踏んでいった。しかし他のラインが警戒して突っ張って前に出させてくれない。何度も先行を阻まれて最後まで後方に追い込まれた。絶望的な位置から直線だけ追い込む2着に終わった。それでも大きな収穫を得た。「レースは失敗したけど先行で連勝できて最後も2着に迫れて、A級1、2班戦でも自分の力が通用することが分かって自信になりました」。
 続く11月の小松島FIIの決勝では突っ張り先行を敢行して2着に粘り込んだ。「高松決勝の反省を踏まえて、何をしたら他のラインが嫌がるかを考えて今度は自分がとことん突っ張ることを考えて走りました。徹底先行にこだわりはなく、勝つために何が1番いいのかを考えて走っています」と冷静さも併せ持つ。レースを終えて帰ると、すぐにアドバイスをくれる師匠でもある父敬一(69期)の存在も大きい。
 今も自力を繰り出す現役の父を追ってレーサーを目指した。物心がついた時から先行主体で戦う父の競走をみて「自分はレーサーになるものだと当たり前のように考えていた」と天命だと感じていた。高校を卒業後に本格的に父と二人三脚でプロを目指して夢がかなった。「目標は父です」ときっぱり話す息子をみて父は「夢が小さい」とはにかむ中にも、まんざらでもなさそうなうれしそうな親子の笑顔があった。まずは父が果たせなかったS級優勝を視野に入れる。「同期が2人すでにS級昇進を決めたけど焦りはありません。S級でも通用する力をじっくり身につけてから上がりたい。日々勉強です」。父譲りのダッシュを武器に課題を克服しながら成長を続ける。岡山の本格先行として親子鷹は、さらに高みの空を目指し、上昇気流に乗って舞い上がる。


高松競輪場より