インタビュー

佐藤健太 福岡 101期 A級2班
ブレイク警戒レベル5
 「7月名古屋の落車でセンターが出た(体のバランスが良くなった)」と笑顔で語る。「それまで、年に1回優出するくらいの実力だった」佐藤が、復帰5場所で3回優出を果たしている。「初めて鎖骨を骨折したのですが、落車明けは痛い上体から力を抜いて、脚を回すことを意識して乗っている。これがいいのかも」。近況5場所は1着6回、2着5回、3着1回、着外3回と抜群の安定度を誇っている。「前々期が84点くらい。前期が86点ぐらいの自分が現在92点。S級点まで狙えるようになったのはビックリですよ」と、本人も目を丸くする。落車がブレイクのきっかけになるとは…。

佐藤健太 福岡 101期
 デビュー当時は3・69のギアを踏み込むのがやっとだったという。2012年といえば4・00を超える大ギアがブームとなっていた頃。ギアにものをいわせて成績が上昇する選手が多数いた時の3・69。不利は明らかだった。「試しに3・85に上げてみたけど、踏み切れていない。4・00に上げた時はハナを切ったものの、ゴール前は失速して7着になったこともある。とにかく、結果が出なくて辛い日々だった。練習するのも嫌になるくらい。競輪学校の成績が同じくらいだった同期が次々とS級に上がっていく。同県の同期、津村(洸次郎=S級2班)が脚光を浴びるのが悔しくてたまらなかった。練習ではタイムが出るのに実際の競輪は結果が出ない。そのうち、負け癖までついちゃいました」と、振り返る。
 転機は友人の一言だったという。「友達に早くS級に上がることより、引退した時にどれだけタイトルを取ったかの方が重要じゃないのと言われ、ハッとした。あせってばかりいる自分に、初めて心に余裕ができた」という。成績が出なく苦しい時期も腐らず練習していた成果で「体力が付いたんでしょうね。今は51×13、3・92のギアも難なく踏めるようになった。10月の熊本、続く福井で連続優出できたのは、本当に自信になった。今は練習するのも楽しいし、体のケアにも気をつけるようになった」。プロ意識が芽生えはじめたようだ。「1、2班戦は決勝2着が最高で、優勝がまだない」というが、この原稿が掲載される頃には初優勝を果たしているかもしれない。「A級で優勝できなくても、S級初優勝が記念くらいの方がインパクトがあっていいかもね」と、佐藤。大ブレイク予感大だ。


久留米競輪場より