インタビュー

石塚輪太郎 和歌山 105期 A級1班
紀州の大砲 S級点狙い撃ち
 近畿を代表する大型先行が産声をあげつつある。逃げたら強い石塚輪太郎だ。
 2015年10月の小松島準決で誘導員早期追い抜きを犯し失格。「普通に走っていればS級点はキープしていたのに、あの小松島の失格でパァ~になった。本当に悔しいです。今の目標は早くS級に上がりたい。だから、今期は絶対にS級点を取るという気持ちで頑張っています」と、現在奮走中だ。今年2月の佐世保初日は鐘過ぎ4角から巻き返し、11秒2のハイラップを計時。S級でも即通用するパワーを見せ付けていた。

石塚輪太郎 和歌山 105期
 しかし、「最近は別線に警戒されて、なかなか逃がしてもらえないし、準決がネックになっています」と石塚。実際、佐世保準決で対戦した神開将暢(福岡、69期)は「石塚君を逃がしたら簡単にまくれない。目標の中村(雅仁、熊本、90期)君と、石塚君を7番手に置くように作戦をじっくり立ててレースに臨みました」と証言。石塚包囲網は強力になって、今年は4場所消化して、優出ゼロと足踏みが続く。
 「早くS級になりたい。練習でお世話になっている先輩方の前で頑張りたいんです」と熱く語る石塚。隣にいた石田將剛(和歌山、87期)に「えっ、あの先輩、きっついわ~って影で悪口ばかり言っているのに?」と突っ込まれると「えっ、やめてください。本当だと思われるじゃないですか」と耳を真っ赤にして反論する。関西人が得意とする巧妙な切り替えしは苦手。レース同様、不器用な性格のようである。

 「課題は戦法の幅を広げること。最近はまくりも決まりだしてきたし、少しずつですが進歩していると思います。どちらかというと寒い冬場は苦手。これから段々温かくなるし、気温と同様に上昇していけたらと思います」。2月久留米の初日は鐘から抑え先行で逃げ切り。上がりは12秒2だが、その日の特選を3番手外並走2角まくりで制した久木原洋(埼玉、97期)の上がりが12秒3だから、自分の得意パターンに持ち込んだ時の強さは折り紙付き。準決は赤板から先行体勢を築き、4番手をキープした特選スタートの高鍋邦彰(福岡、95期)を不発にして逃げ切り勝ちを納め、今年初優出を決めた。「これが、いいきっかけになるといいですね」と石塚。前出の石田に「S級点が取れたら教えてや~。オレの使い古しのS級パンツをプレゼントするわ~」に「えっ、いや、いや、いやぁ~」と答えに窮する石塚。器用に生きられないようだが、愚直に先行にこだわる姿が魅力でもある。


久留米競輪場より