インタビュー

大竹歩 101期 大阪 S級2班
また一人、近畿に大型先行が現れた。
188センチ、93キロ。高校時代は陸上の中長距離で活躍した大竹歩。S級に上がって3期目、本格化した。今開催前にはGIII川崎記念に出走。一次予選、二次予選をクリアして準決に進出。そこで稲垣裕之と初連係の機会を得た。「むちゃくちゃ緊張しました。今まで村上博幸さんや稲川翔さんのグランプリ出場選手の前で走ったことはありますが、稲垣さんは初めて」。2日目終了後に発表されたメンバーを見た時から険しい表情だった。険しいと言うより、緊張が沸点に達したようだった。結果は早めに先行。稲垣が番手からまくったが5着。ただ、3番手を回った藤木裕が1着で決勝に進むことができた。ラインの先頭で走る役割は果たせたと言えよう。川崎は1勝もできなかったが、東日本のファンに強烈な印象を与えたことは間違いない。

大竹歩 101期 大阪
それから中6日での平塚開催。予選は打鐘から濱口高彰を連れて先行。高橋幸司と壮絶な先行争いを演じながら3着に逃げ粘った。準決は打鐘前から発進。岩本俊介のかましに屈したが、決して諦めず内でもがき最終4コーナー、いやゴール寸前まで頑張った。「岩本さんの巻き返しが早く、自分のタイミングで踏めなかった。対応がうまくできなかった」と悔しそうに振り返った。最終日は坂本貴史、阿部大樹と対戦。坂本に人気は集まったが「3日間で一番戦いやすかった」。結果は村田雅一に差されて2着も「先行選手の2着は勲章」と胸を張った。3日間、打鐘先行。そして最後までゴール前勝負を演じることができた。川崎に続き、平塚でも大竹歩の名前をアピールできた。
2015年1月にS級初昇格。デビューから2年半、まずまずだと思うが「本当は2年で上がるつもりでしたから半年の遅れ」。適性出身を考えればスピード出世とも思えるが、本人は納得しなかった。この半年の遅れについて「A級で90点台をキープしてちょっと安心というか、心に隙があったかもしれない」。練習での強さは自他共に認める大阪NO1。しかしそれを実戦に生かせない。「何ていうんですかね、大きな容量があるのに、それを1回で使い切ってしまうみたいな。これは同郷の古性優作君に言われました。要するに1回でなく、その容量をレースの中で何回も使わなければだめなんです。こことここで踏み直すといった感じです」。練習はほとんど街道だが、月に6回、岸和田バンクに入り、引退した郡山久二さんのバイク誘導を受ける。基本的に練習は「昔から自分で考えてメニューを組んでいます」。例えば66段の階段を1つ飛ばしてのダッシュを10~15往復。いい意味での泥臭さが大竹にはある。
ブレークの予感はありありだが目標を聞いてみた。「今年はFIで優勝。それと来年の高松宮記念杯は岸和田開催なんです。あまり大きなことは言えないけど、出場できるように。それがモチベーションになっています」。まだまだ粗削りだが、そのパワーは魅力タップリ。近畿は自力型の宝庫。身近にお手本がいるのは恵まれた環境だろう。それを生かすも殺すも自分次第だが、大竹ならきっと生かしてグレード戦線で活躍できる気がする。


平塚競輪場より