インタビュー

池野健太 兵庫 109期 A級3班
大手企業の営業から転身
 待望の初優勝だった。デビュー3場所目だった8月2日の向日町FIIチャレンジ決勝をまくりで勝利。6月に体調を崩し「最悪の状態」で7月のデビューを迎えていただけに、結果としてはひと安心の初Vでもあった。しかし、自己評価は厳しい。「ひと言で言ってまだ甘い。前と車間を切り過ぎているし、力を出し切れていない。徐々に競走に慣れてはきているけど、まだまだですね」。

池野健太 兵庫 109期
 高校から初めた自転車競技。中央大学時代には国体のケイリンで優勝するなど実績を残してきた。卒業後は父同様に大手企業に就職。営業の仕事に専念した。しかし、以前から懇意にしていた角令央奈(98期)から勧められたこともあって再び自転車に乗った。「10ヵ月ぶりに何となく乗って3ヵ月間練習したら競輪学校の試験に受かってしまった。両親?もちろん反対されました。でもやはり、自転車から離れることはできなかった」。安定した生活より、自転車の魅力が勝ってしまった。
 在校成績は1位。どうしてもこの金看板に周囲の注目が集まる。ところが、本人は苦笑しながら1位の中身を説明した。「学校では、みんな標識線から全開でもがいてたれる。でも僕は冷静に最終ホームからカマシたり、まくったりしていたから1位になってしまった。1位を取る気なんてまったくなかったし、実力はともなっていないんですよ」。
 それゆえ、すでに4人がデビュー9連勝で2班に特別昇班したが焦りはない。上のクラスでも通用する脚をじっくり作り上げていくつもりだ。「先日(8月14日)昇班した在校2位の太田竜馬君(徳島)は脚が違っていましたよ。今、僕がやるべきことは力を出し切る走りをして成績も残していくことです」。
 自分の方向性と将来も明確に描く。均整がとれた体格ではあるものの、重厚感はないためパワーで圧倒する走りは目指さない。「深谷知広さんや竹内雄作さんとは明らかに違う。タイプとしての目標は石丸寛之さんですね。うまく立ち回ってタテ脚勝負したい。そして、早く師匠の澤田義和さんの前で頑張りたい」。自ら選んだ進路。着実に突き進むであろう今後が楽しみだ。


岐阜競輪場より