インタビュー

鈴木竜士 茨城 107期 S級2班
タイトル候補生
紛れもないタイトル候補生だ。ただ最近では同期の吉田拓矢、新山響平の名前が新聞紙上を賑わしている。しかし、鈴木も負けてはいられない。このシリーズは関東の偉大な先輩である「山口健治杯」の冠がついていた。だからこそ、どうしても優勝したいシリーズでもあった。鈴木のイメージはS級に上がった当初こそ先行だったが、キャリアを積むうちにまくりも多くなってきた。典型的なスプリンターである以上、それはいたしかたのないことなのだが。

鈴木竜士 茨城 107期
予選11R。打鐘では内に包まれていたが強引に自転車を外に持ち出すとホームから一気の仕掛け。後続を千切って逃げ切り。「やはり先行で勝つのはいいですね。自分のタイミングでいくことができました」と満足顔。続く準決は飯野祐らと対戦。最終ホームではここでも内だったが、バックで外をどかし4番手を確保すると、すかさずまくって出ていった。S級トップクラスの差し脚を誇る諸橋愛の猛追をしのぎ真っ先にゴール。踏み出しの瞬間、出切ってからのスピード、どれをとっても申し分なかった。迎えた決勝。関東は5人の勝ち上がり。鈴木には芦澤大がつき、地元の河村雅には埼玉の中田健。諸橋は位置を決めずと分裂。勢いはここまで断トツに鈴木。しかしいざレースになると鈴木は8番手。どう考えても届かないだろうと思っていたが、最終2コーナーから加速し、最後は外を突き抜けてしまった。「8番手に置かれて焦った?それはなかったです。落ち着いてレースを見られていたし」。強心臓というか大物ぶりを発揮した。確かにこのシリーズは雰囲気が違っていた。以前は失礼な言い方だが、無理に虚勢を張っているような感じだった。だが立川ではトゲがとれたとでも言うのか、表情が自然体だった。そのことを振ると「そうですか。自分では分からないです。でも確かに以前よりはレースは見えているかも」。気のせいだろうか、身体も一回り大きくなっていた。
鈴木の特長はいい意味でのガツガツ感があること。どんな展開にも対応できる能力は強みだろう。一皮剥けたと感じたが、続く伊東は決勝5着。それも未勝利で終えた。そして19日に終わったGII共同通信社杯。若手の登竜門と言われている大会だが、一次予選で7着。いきなり勝ち上がりに失敗した。2日目は2着、3日目は1着。初日の失敗が痛かった。それでもポテンシャルの高さは選手仲間、関係者、マスコミは十分承知している。いかに自分でレースを動かしていけるか。これがさらに出きるようになれば、タイトルは取れる。それだけの器であることは間違いない。


立川競輪場より