インタビュー

溝口香奈 奈良 108期 A級2班
「生涯現役」へ全力ウーマン
 戦った山原さくららトップクラスとは、スピードが違う。ダッシュ力も足りない。でも気持ちだけは負けない。それを肝に銘じて前へ前へ食らい付くレースを続けてきた。しかし、2年目を迎えた16年はけが、病気も重なって結果が伴わない。10月中旬の玉野ミッドナイト競輪では予選から見せ場さえ作れなかった。それでも「けがや病気さえ治れば…。まだまだへこたれないですよ」といつもの快活な笑顔で前を向く。30歳を越えてやっと見つけた自分が全力でやりきれる職業だからだ。

左から溝口香奈選手、ボートレース落合直子選手、
遠藤エミ選手、108期三宅玲奈選手



 カメラ好きが高じて、大阪芸大芸術学部写真学科に入学した。卒業後は、写真の技術を生かせると考え「日本写真判定(日写)」に入社した。日写では競輪やボートレース、オートレースなどの現場での雑事に追われた。その現場でガールズケイリンに出会った。スポーツは硬式テニス、アイスホッケーしか経験はなかった。好奇心からガールズサマーキャンプ(自転車競技体験合宿)に参加。さらに現在の師匠・中川武志(奈良)を紹介してもらって本格的に自転車競技の練習に取り組み、13年のガールズ4期生テストに合格した。

 同期にはすでにトップクラスで戦う尾崎睦や児玉碧衣もいるが上は目指していない。「トップを目指そうという気は実はないんです。それよりも結婚して、子供が生まれても細く、長く続けていたい。「生涯現役」が目標です。たまにはこんな選手もいてもいいでしょう」と笑い飛ばす。
 今年8月の四日市競輪参戦直後に訪れた津ボートレース場見学は、大きな刺激になった。当地では女子レースの最高峰のレース「GIレディースチャンピオン」が行われていた。知り合いのボートレーサー落合直子や遠藤エミの応援も兼ねていたが、選手を応援する場内の熱気は半端ではなかった。「女子選手だけの戦いでこれだけ盛り上がりがある。ガールズケイリンも見習うことがたくさんあると思いました。現役選手としてそんな意見があることも現場に反映していきたい」と裏方にいた人間としての視点も忘れない。師匠の中川も「しっかりと自分の考えを持ってコツコツやるタイプ」と話す全力ウーマンは「生涯現役」というとてつもない夢へ奮起する。


玉野競輪場より