インタビュー

坂本亮馬 福岡 90期 S級1班
復活への道を一歩ずつ
 坂本が復活への道を着々と歩んでいる。あらかじめ展開を想定し、別線の動向を見極めレースの流れを読みきるセンスは抜群だ。浅井康太、稲川翔、新田祐大といったタレントがひしめく90期生の中でも誰よりも出世は早かった。彼らがまだFIシリーズの主役だったころ、すでに記念を何本も制覇しておりあっという間にスターダムまでのし上がった。

坂本亮馬 福岡 90期
 ところが、大ギアの波に飲まれここ数年は頭打ち。気が付くと同期たちには先を越され、天才ともてはやされた男も現状打破に四苦八苦。そこで状況の打破を求め2年前に荒療治を敢行した。「自分の中での目安が110点という点数でした。それが何をしても届かないで下がるばっかり。そこで引っ越しをして生活環境を変えてみた。刺激が入ったし効果はあったと思う」
 地元の久留米から福岡市内へと拠点を移して生活環境に変化をつけた。市内にはバンクはなく街道練習が主。これまで当たり前のように行なっていたバンク練習ができないことで一日、一日のありがたみを知った。またトレーニングジムやボディケアをする際の利便性もあがり、効率よく時間を使えるようになった。
 「おかげで去年は110点超えができた。そのあとにすぐに(昨年12月松阪で)左肋骨の骨折をしたのは予定外だったけど。ただ今はもう治ったしいい感じです」
 坂本の最大の魅力は、落車や怪我をしても引きずることなく好不調の浮き沈みがないところ。だから、いくら成績が頭打ちとなっても極端に成績を落とすことはないし、悪くても現状維持。その辺りはしぶとくとてもしたたかだ。それはデビュー間もないころの原体験が生きている。「特進2場所目の前橋で頚椎のねん挫と右太腿の断裂で10日近く半身が麻痺した。医者には復帰は無理だと言われたくらいで。あの怪我があったから身体のメンテナンスにより気を遣うようになった」
 遅まきながら反攻が始まった。当面の目標は11月の競輪祭。迎え撃つ地元戦を万全な状態で迎えられるのは大きい。またダービー王の中川誠一郎とS級S班の園田匠、そして坂本と同じく復調急にある松岡貴久や山田英明といった仲間がじわじわと調子を上げてきたことも九州地区にとっては追い風。九州が一枚岩となり、再び亮馬旋風を巻き起こす。


久留米競輪場より