インタビュー

瀬戸晋作 長崎 107期 A級2班
長崎期待の新鋭
 それは11月の久留米の前検日。抑え先行に徹してパワーアップを図る瀬戸に意外な申し入れがあった。初日に連係する田中弘章(福岡、68期)が「オレ、脚質的に抑え先行に付いていくのが苦手。だから、カマシかまくりにしてもらえないかな。若い選手はおじさん(田中)のことをあまり知らないと思うけど、ダッシュにはそこそこ自信はある。だから、離れることはないと思うよ」。驚いた表情で「えっ、いいんですか?」と瀬戸。本来、得意なのはダッシュを生かしたカマシ、まくり。久しぶりに自分の競走ができるとあって、笑顔がこぼれた。結果は鐘過ぎ4角カマシで別線を完封。堂々の押し切りを決めた。勝ちに徹した立ち回りをすれば、1着を量産していてもおかしくない実力の持ち主だが、あえて厳しい競走を自らに課している。

瀬戸晋作 長崎 107期
 きっかけは昨年末、地元の佐世保で迎えたレインボーチャレンジファイナルだった。「あれで、特進できたら考えもしなかったと思うが、結果は7着。もっと自分の力を付けてチャレンジを卒業しよう。そのためには自分の苦手な戦法、抑え先行で全体的なレベルアップをしようと思った」。6月久留米のレインボーチャレンジファイナルでは先まくりを放った滝本泰行(岡山、107期)に及ばなかったが、8番手まくりで2着をキープ。A級2班への特別昇班を果たした。それで満足することなく、現在も抑え先行で89点まで得点をアップしている。「まだまだ取りこぼすことが多くて…。今期は厳しいけど、それでもS級点の望みがある限り、自分はあきらめない」と奮走中だ。
 瀬戸には早くS級に上がらなければいけない理由がある。「今年、(双子の)弟の栄作(109期)がデビューした。やはり、弟には負けたくないし、弟より早くS級に上がっていたい。それ以上に、素材は(井上)昌己(長崎、86期)さん以上と噂の山崎賢人君が今、競輪学校で頑張っている。彼がデビューしたら、あっという間に追い抜かれる危険がある。少しでも先輩顔がしたいですからね」と、笑ってみせる。瀬戸兄弟を筆頭に長崎が若手の台頭で盛り上がりそうな気配だ。


久留米競輪場より