インタビュー

大畑裕貴 埼玉 92期 A級1班
焦らずじっくり。
 大畑が少しずつ復調の気配を見せている。S級在籍時の昨年2月。玉野で落車し左肩鎖関節を痛めた。それだけでなく腱まで切れてしまう大けがだった。3月に手術。6月に何とか復帰したものの8月にまた落車。今度は右の肩甲骨を骨折。復帰して数場所、手応えをつかんだ矢先のアクシデントだった。そこから成績は低迷。もがいてももがいても結果は付いてこなかった。それでも自分を信じ、こつこつと我慢。1年以上苦しんだ。

大畑裕貴 埼玉 92期
 「だいぶ良くはなってきています」と前検日には元気な声でハッキリ答えた。予選は打鐘から先頭に立って主導権を奪った。4番手の小酒大にまくられはしたが、最後の最後まで粘っていた。結果は6着も内容は濃いものだった。2日目の特一般。今度は一転、最終ホームは7番手に置かれる大ピンチ。しかし「余裕はありました」と言う通り、2コーナーから仕掛けるとあっという間に前団をごぼう抜き。見事、1着でゴールを駆け抜けた。最終日も打鐘から先行し2着。この開催は3走して2連対だった。「まだ違和感はあります。でも徐々にではありますけど、レースでの感覚を取り戻せつつあるんです」。
 休養中は気持ちが切れることもあった。しかしどうしてももう一度S級で走りたい、その気持ちだけで毎日を過ごしてきた。そしてただS級で走ることが目標ではなく「優勝したいんです。S級は1度しか優勝経験がないんで。GI?いや、まずはS級で優勝すること。それができれば自然とGIが見えてきますから」。けがによる痛みはなくなった。しかし「バランスなんです。手の付き方ひとつでもまだ完璧じゃない。それさえ良くなれば。でもレースで先行を意識して走っていれば、きっと元の感覚に戻れるはずです」と前向きだ。現在の競走得点は84点台。だが、平塚の3日間の動きを見れば90点台の選手と遜色はない。現実に最終日の相手は優勝候補だった小島歩。小島にレースをさせなかったんだから、復調の度合いも分かるというもの。年末、そして来年はもっと力強い走りが見られそうだ。


平塚競輪場より