インタビュー

荒木伸哉 静岡 87期 A級1班
A級を走っている選手ではない。
S級での優勝経験もあるし、人気も背負っていた。だからこそ、A級じゃ取りこぼせない。そんな荒木が平塚に参戦した。10月のナイターにも参戦したが、その時は全くいいところなく3日間を終えた。「いくら目標がないからといって、情けない競走でした。ファンに迷惑をかけた分、この開催は期待に応えたい」と前検日から相当入れ込んでいた。その言葉通り、初日特選はまさに横綱相撲だった。目標にした川田忍が不発と見るや、落ち着いて車を外に持ち出し、直線一気の強襲。「川田君があそこまで行ってくれたから」と後輩を讃えたが、力の違いを見せつけた結果だった。準決は地元のホープ・菅原大也が目標。すんなり主導権を奪い、番手の荒木にはよだれがでそうな流れ。だが、長井妙樹―女屋文伸にまくられ3着。自らが出ていくこともできたはずだが…。「いや、菅原君のスピードが良かったし、最後までかばうつもりでいた。長井君は止まったと思ったんだけど」。自分も自力型としてデビュー。だから菅原をかばう親心とでもいうのか、それが結局裏目に出てしまった。

荒木伸哉 静岡 87期
それでも2日間の動きを見れば問題なし。決勝は再度、川田を目標。3番手に千葉の佐藤壮という盤石の布陣で臨んだ。川田が赤板から先行態勢に入り、最終ホームで一気に加速。荒木にとっては最高の展開になった。後方から単騎でまくってきた長井をブロック。そこを坂本将太郎がインを突き荒木と接触。何と荒木は落車の憂き目にあってしまった。さいわい骨には異常がなかったものの、ほぼ優勝を手にしていただけに悔やみきれない一戦になってしまった。「終わったことは仕方ないけど…。せっかく状態が良くなってきた時だったんで体のバランスが崩れないことを祈っています」
来年1月からはS級に復帰と思いきや「ダメだったんです。来期もA級」と肩をおとした。S級とA級の違いについて荒木は「A級はワンテンポ、ツーテンポずれるんです。何ていうのかな、S級は絶えず動きがあるのに対し、A級はそれがない。だからと言ってA級のペースに慣れてしまったらだめですからね」。出入りの激しい動きがあってこそ、自分のスタイルが生きる、そう感じている。A級では人の後ろを回ることが多くなっているが、完全な追い込みになったわけではない。「もちろん自力の練習もしているし、目標がないときにはしっかり対処しなければ勝てないですから」。今開催は残念な結果に終わってしまったが、怪我は大したことなかった。「早くS級に戻りたい」。来年7月を待つのではなく、特進してしまえばいいだけ。それだけの力は持っている。


平塚競輪場より