インタビュー

根田空史 千葉 94期 S級1班
記念(GIII)競輪優勝は通過点
まさかまだ1度もGIIIを勝ったことがなかったとは。誰に聞いても「エッ」と思うだろう。2月奈良記念。順当に決勝に勝ち上がると郡司浩平という絶好の目標を得た。その決勝は郡司が早めに前に出て先行。番手の根田が絶好の展開を生かして嬉しい記念初制覇を成し遂げた。「郡司君があれだけ早く行ってくれたから」とラインの後輩の激走を讃えた。遅すぎた記念制覇?考えて見れば徹底先行の根田は、いつも自分の勝利よりラインの勝利が優先だった。「そうですね。でもそれは通らなければならない道でしょ。先輩たちも若い時はそうやってきたから。時間がかかった? そうかも知れませんけど、それはそれ」。初Vの感想を聞くと「それはうれしいですよ。でも生意気なようですけど記念(GIII)優勝は通過点です」。

根田空史 千葉 94期
初Vの余韻が残る中、今度は3日制のGIII小田原に参戦してきた。「中3日、いや実質2日です。疲れはありますけど、参加する以上はしっかりとした競走をします」と前検日に笑顔で答えていた。特選は打鐘前から全力でスパート。末を欠いて8着に敗れた。気を取り直して臨んだ準決は中団キープからひとまくり。決勝は根田を含め千葉勢が3人。地元の堀内俊介と新田康仁も勝ち上がり南関は総勢5人。もちろんラインを組むのは不可能。決勝。いったんは石塚輪|西岡正の3番手に入ったが、打鐘からすかさず発進。これには追走した小埜正もビックリ。一瞬、口が開いてしまった。「3番手はあったけど、ずっとそこにいるわけにはいかない。奈良で郡司君が駆けてくれたでしょ。それで僕が優勝。それなのに、僕が3番手からいかなきゃおかしい」。奈良記念でのレース、そして自分のスタイルを貫き通した。結果は小埜が番手まくりを放ち、3番手の田中晴が優勝。先輩にGIII初Vをプレゼントした。奈良があったからこそできた走りだった。
記念の次はもちろんGI。そのために昨年末からウエイトトレーニングをやり始めた。「ジムに通うとかじゃなく、千葉競輪内で。今までやったことはなかったけど、もっと上のレベルで戦うためには。絶対に必要だと思って。まだ成果は出ていないけど、バランス的なものは良くなってきたと思う」。ウエイトだけではなく練習量も量から質へ。以前はがむしゃらに体をいじめていたが、今は1日でもがく量をきめている。いかに集中してトレーニングができるか、そこに主眼を置いている。残念ながら今年初戦のGI「全日本選抜」には出場できなかったが、後半戦は必ずやGI戦線で暴れ回ることだろう。


小田原競輪場より