インタビュー

佐伯辰哉 広島 109期 A級2班
トップへ駆け上がれ
 2月末に行われたトラックW杯の今季最終戦。ここで画期的な出来事があった。リオデジャネイロ五輪・BMX代表の長迫吉拓が、チームスプリントの第1走に抜てきされたのだ。長迫は卓越したダッシュ力で鮮烈なトラックデビューを果たしたが、競輪界でも最近はBMX出身者の活躍が目立つ。GIIIウィナーの古性優作を筆頭に、S級では黒田淳、西岡拓朗ら。西岡を師匠に持つ佐伯もまた、BMXからの転向組。2014年の全日本BMX選手権ジュニアで優勝の実績もあり、長迫、古性も「昔からよく知っている」仲だと言う。

佐伯辰哉 広島 109期
 1周400メートル程度のコースにジャンプ台やコーナーが設けられ、1レース最大8人で争われるBMX。瞬発力とハンドルワークが必要な競技だけに、競輪との共通点も多い。佐伯は昨年7月にデビューして、9連勝の特別昇班こそならなかったが、昨年末の「レインボーカップ・チャレンジファイナル」で1着となり、今年からA級1、2班戦を走っている。「チャレンジで時間がかかってしまいました。同期でS班はすでに2人(太田竜馬=徳島、竹内翼=広島)いますからね。特に竹内さんは同県だし、先を越されて悔しかった」と、ライバル心も見せる。
 高校卒業時に進路で迷っていた時、古性の活躍が目に留まった。「西岡さんに連絡して、自分も競輪でやってみたいと。BMXをやっていたので、ダッシュはまずまずあると思うが、もともとは地脚タイプ。うまく競輪に生かせていますね。タテだけじゃなく、ヨコもできる古性さんのような自在選手になりたい」と目を輝かせる。
 たが、時にはつまずくこともある。3月6日から行われた日本名輪会カップ・第25回「石田雄彦記念杯」。S級以上に激戦だったのが、若手有望株が多数参戦したA級戦。佐伯ももちろんV候補だったが、まさかの準決勝敗退を喫してしまう。同期の中川勝貴(福井)に叩かれ、内に詰まって抜け出せない最悪の展開。「どかすのも考えたが、結果、締められて踏み遅れた」。特別昇班直後の小倉で完全Vを飾って以降、6場所続けて決勝進出中だったが、快進撃がストップしてしまった。
 それでも、最終日の特選では中川を押さえて打鐘先行。1周半しっかり駆けて白星で締めた。1~3月までの競走得点上位選手によって争われる6月の「レインボーカップA級ファイナル」へは、もう取りこぼしはできない。「当然、そこは意識しています。来年の1月からはS級を走れると思うけど、上がるのは早いに越したことはないので」。同期に追い付き、追い越すべく、佐伯の挑戦は続く。


岸和田競輪場より