インタビュー

牧剛央 福岡 80期 S級1班
2017年は激動のスタート 試練を乗り越え飛躍の年にする!
正月開催の松阪でVを飾り、2017年を最高の形でスタートさせた。しかし次走の千葉は初日に内側追い抜きで失格。ここから一気に歯車が狂い始めた。予選スタートだった続く防府では6・8・5着と3日間精彩を欠き、おまけに2日目の競走では「重注を5つ付けてしまった。一発で(ペナルティの)お寺行き」と負の連鎖が続いた。さすがに堪えたようで「防府のあとはしばらく夜も寝られなかった(苦笑)」と振り返る。

牧剛央 福岡 80期
危機感を覚えた牧は流れを変えるため「お祓いに行った」という。その効果か、直後の川崎では、予選で絶好展開をモノにして1着。レース後の「ホッとした」の言葉には相当の重みがあった。以降は少しずつ成績も安定。3月の大宮ではピンピンで優参を果たすなど、再び上昇ムードだ。
「(最近の1着は)先行選手が頑張ってくれたおかげ。本当にありがたい」と改めて感じた一方、自身のレース内容については納得していない様子で葛藤があるようだ。「やっぱりA級(に落ちるの)だけは避けたいので。一度失格しまっているから『またやったらヤバイ』って。事故点のことも気になるから(けん制で)振ったりするのも甘くなってしまっている」と反省する。実際、2月川崎と3月大宮で挙げた計3勝は全て4角ハコ展開のもので、しかも逃げた選手はいずれも着外に沈んでいる。「車間を空けたりとか、もっとやれる事があったはず」と悔しそうに振り返るのも頷ける。義理堅く先行選手想いなマーク屋だからこそ、近況のレース振りにもどかしさを感じているに違いない。それでも、このまま点数を上げていけば心に余裕も生まれるはず。その時にはまた『牧の大仕事』を見せてくれるだろう。
現在43歳とベテランの域に入ってきたが、昨年GIの舞台に帰ってくるなど、まだまだ元気いっぱい。知性派レーサーらしく、練習の質や内容に変化を加えて対処している成果といえよう。自力も出せる鋭いタテ脚が最大の武器だが、随所で見せる味のある走りも持ち味のひとつ。新年早々に酸いも甘いも噛み分け、たくましさを増したベテランが、激動の2017年を飛躍の年にする。


久留米競輪場より