インタビュー

中井俊亮 奈良 103期 S級1班
飽くなきGI先行勝負
 「自分でレースを作る」。6度目のGI挑戦は明確なテーマを持って走った。いわき平で行われた第60回オールスターは4戦とも主導権を取る自分の競走を貫いた。3、4、8、3着。2次予選敗退。それが今の自分の現状であることをはっきり認識した。そしてもっと力をつけてGIの舞台に戻る。確かな目標ができた5日間でもあった。

中井俊亮 奈良 S級1班
 初日は先行して前前に踏み上げたが、河端朋之の強烈なまくりを止められなかった。それでも粘り込み3着で2次予選に進んだ。2次予選も迷いなく風を切ったが、すかさず郡司浩平の猛反撃にあった。いったんは郡司の3番手から踏み上げたが粘り切る余力は残っていなかった。残り2走も果敢に先行勝負。4日目に番手に付いた大塚健一郎が「いい先行だった」と称賛された。いわき平の長い直線とホーム向かい風に先行選手が軒並み失速していた。決勝でも絶好調だった深谷知広でさえ8着に沈んだことを思えば健闘だった。それでも満足することはない。「自分の力不足を感じます。でも走り終えて、先行基本の戦いで結果を出すという目標ができました。GI決勝に乗りたい。それには練習するしかないですね」。
 父・義実(53期・引退)、兄・太祐(97期)を追ってレーサーになった。血を吐くような練習、ケガが重なりボロボロになって帰宅する父を見て、最初は迷ったが高校の自転車競技を経て「過酷な世界で勝負したい」と父に勧められるまでもなく自分で決めた道だった。16年1月、S級に上がって一気にブレーク。初のGI挑戦となった8月松戸のオールスターではいきなりの準決進出。稲垣裕之の先導役も果たした。
 17年に入っても勢いは止まらないかと思われた。しかし、意気込んだ2月の地元記念の2次予選敗退が尾を引いて、勝てない日が続いた。「周りに警戒されて簡単には駆けさせてくれなくなった」と先行選手としての壁も感じた。
 だがその壁は簡単に破った練習仲間がいた。三谷竜生だった。5月の京王閣ダービーでのGI制覇を目の当たりにして、また闘志に火が付いた。「同じ脚質でも竜生さんは何でもできる。レース展開を読む力もすごい。身近にすごい手本がいる」と伸び悩む自分を鼓舞してくれた。「竜生さんだけでなく近畿は他にも若くて強い先行選手がいる。自分も乗り遅れるわけにはいかない」。これ以上ない刺激を受けて、古都バンクから本格先行が、GI制覇に飽くなき挑戦を続ける。


いわき平競輪場より