太田美穂　三重　112期　L級1班

　三重県では初めてのガールズケイリン選手。152cmの身長ながら、競走は積極果敢だ。成績も7月の京王閣デビューから6戦全てで決勝進出。2場所目の奈良では、ガールズケイリンフェスティバル出場組が不在だったとはいえ、完全Vも果たした

　「最初の1年は勝つこと以上に内容を重視しています。その方が上のレベルで戦えるようになるし、選手寿命も長くなるとアドバイスしてもらっていますから。実際に、しっかり走って力を出し切れていると思います」

　師匠はS級で頑張る大ベテランの萩原操。ガールズ1人の松阪とはいえ、S級の兄弟子もそろっていて申し分のない環境だ。練習した分だけ結果も付いてくるから「今はレースが面白い」と言う。そして、伝わってくるのは彼女自身の意識の高さと自己分析力だ。

　「大舞台で戦えるようになりたい。だから今は我慢の時期。1周や1周半をもがくことで地脚が付いてきた。理想は奥井迪さん。持続力があってダッシュもある。最近は強い人にまくられても食らい付いて追いかけることができている。私も少しずつですね」

　そんな太田にとって忘れられない一戦がある。初めての地元三重のシリーズとなった8月の四日市の初日予選。前受けから突っ張って逃げたものの、粘りを欠いて4着に終わったレースだ。

　「地元で緊張してたけど、自分のペースではない駆け方をして、相手が来るのが早くて慌ててしまった。その分、粘れなくて自分の持ち味を発揮できなかった。デビューして一番悔しい思いをしたレースでしたね」。気付かされたのは、多様な組み立ての重要性。一戦一戦の経験が全て糧となっていく。

　初めてのホームバンク戦となった8月31日からの松阪では2・3・⑤着。ハイレベルのメンバーながら、決勝進出は逃さなかった。将来性は二重丸。中部のガールズを引っ張っている長澤彩に続くのはこの太田か。期待は高まるばかりだ。

松阪競輪場より