インタビュー

山賀雅仁 千葉 87期 S級1班
不屈の闘志で
 徐々に力強さが戻ってきた。今年は落車が多く、小田原記念まで4回。小さな体の山賀にとっては、ダメージは計り知れない。それでも不屈の闘志で戦い続けている。前検日にはいつも以上の明るさで、取り囲む報道陣も多かった。「正直、走ってみないと分からないけど、いい状態なのは確か」と自信をみなぎらせていた。

山賀雅仁 千葉 S級1班
 初日の特選は和田真久留、渡邉晴智と同乗。並びは果たしてどうなるのか。和田の先頭は当然だが、問題は番手。「晴智さんが前を回してくれた」と山賀が言えば渡邉は「山賀が番手でしっかり頑張るって言っているから」。簡単に決まった。レースは頼みの和田がインに詰まる展開。山賀は冷静に状況を見極め、中団の4番手をキープした。そして最終バック前からまくり、渡邉には差されたが「あの展開じゃ自力でいくしかないでしょ。晴智さんが後ろに付いてくれたんだし」と2着にも満足が漂っていた。
 2日目は優秀。渡邉一成と竹内雄作が早い段階から先行争い。山賀は中団で脚を溜めていた。最終バックから満を持してのまくり。今度は渡邉を振り切った。2日間の軽快な動き。記念制覇もあるんじゃないかと期待を持たせた。勝負のかかった準決は、同じ千葉の山中秀将と連係。対戦相手は結果、優勝した山岸佳太、売り出し中の取鳥雄吾に竹内雄作。6番手から踏み出した山中に遅れる痛恨のミス。結局、猛追及ばず4着で決勝には進めなかった。「調子が良かっただけに残念です。やはりこのクラスとの対戦は違う。こういったレベルの戦いを続けていれば違った結果になっていたかもしれないけど…」。悔しさをにじませた。最終日は緊張の糸が切れたのか大敗を喫して、小田原を後にした。
 それでも今後に期待を抱かせたのは事実だ。「ずっとやってきたトレーニングが嘘じゃなかったと思えるようになってきた」。山賀のいいところは向上心があることだろう。人と同じ練習をするのではなく、少しでも興味を持ち、いいと思ったことにはチャレンジする。それがいいか悪いかは結果が出てから。「そうなんです。結果が出なければ僕に合っていなかったということになるから」。頭の回転が速いとでもいうのだろうか、何に対しても貪欲だ。「今回は残念な結果に終わったけど、収穫もあった。これを次に繋げられるようにしたい」。最後まで前を向いていた。


小田原競輪場より