インタビュー

紫原政文 福岡 61期 S級2班
50歳になっても闘争心は衰えていない。
紫原が青森記念で魅せてくれた。初日は同県の八谷誠賢と連係。八谷が絶好の4番手をキープするも、中途半端な仕掛け。切り替えて何とか4着で二次予選に駒を進めることができた。「八谷君が頑張ってくれた」と振り返ったが、自らの力で勝ち取ったレースだったであろう。

紫原政文 福岡 61期
二次予選は4着に終わり、シリーズでの勝ち上がりには失敗した。ファンの大声援を浴びたのは3日目だった。吉本卓仁を目標にしたが、その吉本に覇気がない。7番手のまま一車も出ない。見かねた紫原は、小野俊之を連れてバックからまくり発進。それも8番手。どんな展開に置かれようと、最後の最後まで諦めない。仕掛けた瞬間、そして道中の加速は全盛期を思わせるものだった。4コーナーを回り、まくり切ったと思ったが、伸びを欠いて6着。「行ける所まで行こうと決めていた。いい感じでまくれたけど。まあ見せ場は作れたと思う」と6着にも戦い切った満足感が漂っていた。「この歳になれば若い選手には勝てない。でもね、一つだけ負けないものがあるんですよ。それは気持ち。気持ちだけは誰にも負けません」。3日目の走りは、まさにその言葉通りだった。結局、シリーズを通して1着はおろか、連にも絡むことができなかった。ただ、ファンに強烈な印象を与えたことは事実だろう。
久留米に集まる選手が口を揃える。「紫原さんは本当にすごい。50歳前なのに競輪に対する取り組みは、自分達も見習わなければいけない」。当の紫原は「そう言ってもらえるのはうれしい。でもね、もっと若い選手に頑張ってもらわないと困る。3日目の走りを見て、若手が何か感じてくれたらいい」。そして何より言葉には出さなくなったが、タイトルを諦めたことは1度もない。向上心と闘争心がある限り、50代でのタイトルホルダー誕生も、夢ではなさそうだ。


青森競輪場より