インタビュー

末木浩二 山梨 109期 A級2班
学生王者が開花間近!
ラインを引き連れてグイグイ加速していく。ほかのラインを寄せ付けず最終4コーナーを回ってきた。相手は番手の松田優一だけ。先行選手としてS級でも鳴らしたタテ足の持ち主だ。それでも簡単には抜かせずに粘る。ゴール前は僅差で松田に軍配が上がった。すんなり番手の松田が「踏み直しがきつかった」と苦笑いした。

末木浩二 山梨 109期
まだ残暑が残る17年9月の伊東温泉競輪場では海外の強豪選手を迎えてFIが行われていた。テオ・ボス、マティエス・ブフリら五輪でも活躍した外国人の豪脚ばかりが目立ったシリーズだったが、A級でも将来の逸材が強さの片りんをみせていた。強さは見せつけたのがこの準決勝だった。
決勝は、同じ先行選手で同県の先輩・伊藤太一との連携でメイチ先行となり、あえなく番手まくりされての8着惨敗となった。「自分のペースでかける前にほかのラインに来られて…。まだまだ組み立ても下手ですね」とレースを振り返った。
強さともろさを併せ持っているとはいえ、ツボにはまった時の強さは目を見張る。6月富山のレインボーカップでA2に特別昇班を決めてからA級戦で決勝を外さない成績を続けた。2場所連続完全Vも経験。次場所でS級特別級は逃したが「苦しんだチャレンジでの戦いを経て、今は自信を持ってレースに挑めています」とデビュー時のおどおどした表情は消えた。
16年7月に鳴り物入りでデビューした。日大時代は、自転車競技でケイリン、1kmタイムトライアル、チームスプリントと3年連続でインカレ3冠を達成。1kmタイムトライアルでは、長年破られてなかった日大の先輩でもある小嶋敬二の記録を塗り替えた。「本当は高校卒業を待ってすぐに競輪選手になりたかった。でも競技も面白くて日大に進んだ」と話すが、競輪ファンだった父に関東や南関の競輪場に連れていってもらい幼い頃からレーサーに憧れた。中学では地元の愛好会でピストの練習を始めたほどだった。「遠回りはしたけど、大学時代の経験はこれからの競輪人生に生きると思うし、競技も続けていきたい」と目を輝かせる。
学生時代は伏見俊昭、今は脇本雄太と競技と競輪を両立させている選手に憧れる。武器の地脚の強さを生かして、S級でも先行で粘り切るトップ選手を目指して地元の街道でもがき続ける日々を続ける。大器の開花は近い。


伊東温泉競輪場より