インタビュー

森山智徳 熊本 98期 S級2班
大ケガを克服してカムバック
今年の3月14日、「調子がメチャクチャ悪くて、気持ちがかなり落ちていた」という森山に、追い討ちをかけるような悲劇が襲った。
久留米2日目に出走するも最終ホーム手前で落車。後続にも乗り上げられて大ケガを負った。
診断結果は「眼底骨折」。
日常生活にも支障をきたすほどの重傷で「景色が二重に見えたりボヤけたりする。視界も狭くなるし、距離感もおかしくなるので物を掴むのも大変」という状況だった。

森山智徳 熊本 98期
リハビリを経て6月下旬に復帰するも大敗のオンパレード。
「走っていて視野がズレるから見にくい」という実害に加え、「前の煽りとかが怖くて…。なかなか最後まで踏み切れなくなってしまった」と精神面のダメージも非常に大きかった。
3か月以上、車券圏内に絡むことができなかったが、実戦を重ねるうちに「だんだんと目が慣れてきた」と手ごたえをつかみ始める。
そして10月の四日市初日、ロングまくりを決めて後続をブッ千切り復帰後の初勝利を挙げた。
「このまま一生1着が取れないんじゃないかと思っていたから本当にうれしかった」と当時の心境を笑顔で振り返った。
この四日市では準決でも逃げて僅差の4着と、優参こそ逃したが自信を回復させるには十分なシリーズとなった。
「以前よりも恐怖心がないし、走っていてレースを楽しめるようなってきた。
まくりで1着が取れたし、逃げたときも久しぶりに脚が一杯になるくらいモガけた。
脚はもう完璧だと思う(笑)。あとは気持ちだけ。強い気持ちを持ってこれからも頑張っていきたい」。
続く川崎では予選9着も、まくってあわやのシーンを作り周囲を驚かせた。完全復活はもう間近とみる。
最大のセールスポイントであるダッシュ力は、あの中川誠一郎が「スゴイ」と認めるほど。
ポテンシャルの高さを考えれば、もっと大舞台で活躍できるはずだ。
大ケガからカムバックを果たした苦労人が、ここから更なる高みを目指す。


熊本競輪場より