山中秀将 千葉 95期 S級1班
南関の主砲へ駆け上がる
今年の漢字は「北」。競輪界も新田祐大、渡邉一成の活躍で「北」の存在感は大きかった。だが「南」=南関東勢の躍進も目を見張るものがあった。2月に根田空史が奈良で記念初優勝を飾ると、続く小田原「トラック支援」では田中晴基がGIII初制覇。初Vラッシュの流れにしっかり乗って、四日市記念を勝ったのが山中だ。
山中秀将 千葉 95期
今年最後のGI、小倉「競輪祭」。昨年は選出されていたが負傷欠場。今回が大会初出場ながら記念Vの実績がモノを言って、初日特選にシードされた。初日は好位確保からまくったが、単騎の不利もあって7着。二次予選は原田研太朗、吉田敏洋、新山響平を相手に最終ホームからのまくりが決まって2着。準決勝は最終ホームから仕掛けた新田祐大に対し、2コーナーまくりで迫って2着。「新田さんのスピードがすごかった。付いていったつもりが…。それでも勇気を持って、止まらずに新田さんの横までと」。執念でGI初決勝の扉をこじ開けた。
GIは13年の立川「日本選手権」が初舞台だったが、そこから丸3年出場ゼロ。16年の名古屋「日本選手権」でようやく大レースに帰ってきた。力を付けた今年は6つのうち5つのGI(「高松宮記念杯」は補充)を走り、タイトル戦の常連になりつつある。「ここにいることが当たり前になって、落ち着いて過ごせるようになった」と、経験値がいい作用を生み出している。実際、「競輪祭」前検日には自転車の到着が遅れ、バンク練習ができないアクシデントもあったが「仕方ない。休んでいればいいかと」と、動じることもなかった。
準決勝突破で「今年、自分で決めた目標を達成できた」と喜んだ。「いくつか目標を立てるんですが、結果の目標、体の目標、練習の目標…。結果に関しては、GIII優勝とGI決勝進出ですね。ウェートトレーニングの成果で体重も増えて、計算して練習もできた」。かつては、線の細いスピードタイプのイメージがあったが、トルク感を増すために増量に取り組んだ。一昨年の68キロから、昨年72キロ、今年は75キロと着実に成長。「四日市記念の決勝も、稲垣(裕之)さんや平原(康多)さんがいた中で勝てた。自分にとっては、大きなことだった。GIでも初日に勝ち負けできるようになってきた」と、効果は絶大と言っていい。
迎えた「競輪祭」決勝は渡邉晴智とのタッグ。作戦ではなかったが、残り2周で先頭に立つと、そのまま打鐘からスパート。新田祐大、北津留翼のまくりを次々に食らって、9着に沈んだ。「晴智さんにはほめてもらったけど、4コーナーまでもたないんじゃ先行とは言えないですね。もっと技術と脚力を磨いていきたい」と、淡々と振り返った。その上で、来年のGI戦線へ意気込みを見せる。「今年の南関の流れを作ってくれたのは、間違いなく郡司(浩平)君。自分も力を付けて、いい形で郡司君や根田君と連係できるようになるのが理想。平原さんと武田(豊樹)さんみたいに」。お互いに刺激を与えながら、高みへ突き進む。18年が「南」の天下になるならば、その中心に山中もきっといるはずだ。
小倉競輪場より