インタビュー

山田英明 佐賀 89期 S級1班
GI制覇を目指し九州勢の底上げを
5月の「日本選手権」(京王閣)で初のGIファイナルへ進出し6月「高松宮記念」(岸和田)でも続けて決勝へ。2017年は成長著しくGI戦線でも通用するところを見せつけた。
激動の1年を終え「17年はできすぎでした。初めてビッグの決勝を走ってあの空気を感じて、また経験したいと思ったし自信がついた」。

山田英明 佐賀 89期
これまでの山田は調子をつかむと落車に巻き込まれるという悪い流れに泣かされてきた。2018年はそんな流れを断ち切りメリハリをつけて走っていく。「9月の地元ビッグでは振るわなかったけど、失敗を含めてそれも経験。来年はGIを取ると強い気持ちを持って走る」
山田の在籍する九州地区はここ数年はグレード戦線で苦戦している。2015年には園田匠が寬仁親王牌(弥彦)を、16年には中川誠一郎が日本選手権(静岡)をそれぞれ制しているが、園田の場合は他地区の3番手から、中川の場合は援軍不在の単騎戦だった。いずれも他力本願やイチかバチかといった外的な要素が強く、いわば個の力で取ったようなもの。
準決クラスで通用する大型先行がおらず、松岡貴久、坂本亮馬らの中堅勢は相手の間隙を突くゲリラ的な立ち回りが増え怪我も多く安定性に欠く。ゆえに中川や井上昌己といった30代後半の選手が未だに最前線で戦っているのが九州自力型の現状。結束力の厚みが相乗効果をもたらす近畿などの他地区のような理想的なライン戦を展開できないのは九州地区の懸案事項となっている。
だが、そこにきらめく彗星のごとく未来の大砲が出現しようとしている。111期生で昨年7月にデビューした山崎賢人(長崎)だ。競輪学校に入る前から「西九州に深谷(知広)クラスの若手がいる」と噂されていた逸材で、山田もアマチュア時代の山崎を知っており「学校に入る前は力任せに踏んでいて荒削りという感じだったけど、スピードがケタ違いだった。レース運びを覚えたら最強。即戦力ですよ、早く連係したい」と大型ルーキーに太鼓判を押している。
山崎はS級特進を果たした。これからは山田と連係するだろう。「自分は自力でも番手回りでも両方やれなきゃダメだと思っている。ただそういう後輩が出てくるのなら喜んで任せますよ(笑い)」
悲願のGI制覇へ照準を合わせた山田に強烈な味方が現れた。そのためにも山田は、九州地区の中心人物として上位に君臨し、存在感を示し続けていくしかない。


武雄競輪場より