インタビュー

東龍之介 神奈川 96期 S級1班
飛躍
今年の飛躍は間違いない。大げさかもしれないが、それだけ東に魅力を感じる。その東が、今年の初勝利&初Vに向け、地元戦となる小田原にやってきた。特選は近藤隆と連係。しかしながら結果は8着。ただこれは近藤が最終バック8番手、ということで東は9番手だった。結局、近藤は1着フィニッシュ。「レースを見極める力がないですね」。2日目も近藤と連係しワンツーを決めた。だが「チャンスはあったのに前を抜けていない」と決勝進出にも笑顔は見られなかった。決勝は5着。「3日間、反省ばかりでした。脚力的にはいいとおもうけど、やはりそれ以外のスキルを上げないと、上では戦えないですね」と神妙な面持ちで振り返った。

東龍之介 神奈川 96期
スキルアップ。これが東の今年の課題だ。ではスキルアップとはどういうことなのか。「追い込みに戦法を変えて3年。今まではマーク屋としての意識が薄かったと思うんです。ただ追走するだけでなく、ブロックのタイミングや並走の技術。要するに技術が未熟だったということに気がついたんです」。練習は街道ばかりだったのをバンクに入るようにもした。仲間がいれば、自然と並走の練習もできる。そして考えるようになった。例えば、前回の大宮は新しいフレームに替えて臨んだが初日に落車。「フレームを替えたことが重要ではなく、そのフレームの特性を考えるようになった。コントロールできないのは、自分の技術不足と思うように考え方を変えた」。
練習仲間の松谷秀幸の存在も大きい。松谷と言えばドラフト3位でヤクルトに入団した元プロ野球選手。右ひじを何度も手術し、1軍での登板はなかった。「松谷さんに言われるんです。『お前は甘い。挫折を経験していない』って。確かにそうかもしれません。だからもっとシビアにいかないといけません」。父の晃さんは元S級の選手。その父から「頭は低く目は高く」の言葉をもらった。「その通りなんですよね。人の話をしっかり聞く。聞きながらも志は高く持てって」。口で言うのは簡単だが、東の言葉からは情熱、本当にトップとして戦うという気持ちが伝わってきた。「今年はすべてのGIに出場することが目標。そしてGIIIの優勝」と語気を強めた。今回の小田原は結果が出なかったが、今後のグレード戦線では必ず、東の名前が新聞紙上を賑わす、そう確信できた。


小田原競輪場より