インタビュー

大石崇晴 京都 109期 S級2班
先行で羽ばたけ、タカハル!
「初○○」を騒ぐのは、伝える側のお約束ではあるが、当の本人は意外にドライ…なんていうのもよくあること。内外にファンの多い大石は、今年1月にS級昇進。2月の立川でS級初勝利。余勢を駆って臨んだ奈良記念は、3日目の一般戦でGIII初白星を挙げ、全国に名前をアピールした。レースは8車立てで、大石の実質先行一車。補充の伊藤拓人(静岡)が、辰己豊(奈良)と競る形になり、展開も向いた。取り囲む取材陣には「記念初勝利はうれしいが、もうちょっと内容にこだわりたい。出切るまでに時間がかかったし、修正点もある」と淡々。ドライというのとは少し違うが、やはり手放しで喜ぶことはなかった。

大石崇晴 京都 109期
選手、監督としてプロ野球で活躍した父・大石大二郎氏が亜大卒業時に「ドラフトで指名されなければ競輪選手に」という夢があったのは有名な話。通算4度、パ・リーグの盗塁王に輝いた抜群の身体能力をもってすれば、競輪界でもかなりの成績を残したに違いない。父の夢は、甲子園球児でもあった崇晴に託されることになった(むろん、崇晴自身もNPB入りを目指していたが)。「ジュニア」の看板は日本競輪学校に入学する前から、注目の的になるのは必然だった。当時の心境は「いろいろ取り上げてもらってありがたかったです」とのこと。取材者がこぞって惚れ込む理由は、こうした人柄にある。
109期といえば、昨年のヤンググランプリ準Vの太田竜馬(徳島)らがおり、彼らに後れを取ったとはいえデビュー1年半でのS級昇進は早い方だ。本人は「デビュー時に比べればもちろん成長しているんですが、まだレベルじゃないですね」と冷静に自己分析。実は昨年1月にS級特昇のチャンスがあったが、地元・向日町の決勝で3着に敗れて逃している。「別線勝負の元砂(勇雪)君に連勝を止められて…。スッと上がれなかったが、今思うと、あの時に上がれなくてよかった」。まだ脚力の裏付けがない状態でS級の荒波にもまれていたら、自信を失って迷走していただろう。
厳しい環境と定評のある京都に籍を置き、先輩の川村晃司のグループで練習に励んでいるが、最近では同期の堀僚介や酒井拳蔵を頼って、岸和田にも出げいこに行くという。「今の自分の課題はスピード地脚の強化。自分のダッシュはある程度通用していたが、それだけでは…。いろんな人と練習することで、いろいろ吸収できる」。未来を見据えて努力を続ける姿は「競輪選手・大石」として地に足がしっかり着いたものだった。
あらためて、今後の目標を聞いてみた。「そうですね、まずは予選を突破すること。それと、先行で残れるように」。大きなことは決して言わないが、ひとつずつの積み重ねが10年後の自分を作ることを知っているからこそ。いずれビッグレースの常連となって大暴れする日を、みんなが心待ちにしている。


奈良競輪場より