インタビュー

鈴木雄一朗 東京 94期 A級1班
もっと激しく、もっと貪欲に。
 宝の持ち腐れ。力はあるのに出し切れていない。本人は勿論の事だが、ファンも首をひねってしまう。それが今の鈴木だ。S級でバリバリ走っているのかと思いきやA級。それも特選ではなく、初日は予選スタート。「調子は悪くないのに結果がでない」と、どこか元気がなかった。しかし、予選で負けるわけにはいかない。

鈴木雄一朗 東京 94期
 人気になった予選3R。吉竹尚が先制。鈴木は打鐘過ぎに叩きに出たが、中途半端。番手の安藤孝が絶妙のアシストで4番手に迎え入れてくれた。だがそのまま動く気配はなし。最終2センターから仕掛けてまくり追い込み。勝つには勝ったが、内容は褒められたものではなかった。検車場に引き揚げてきても笑顔はなし。「安藤さんのお陰で勝てただけ」。安藤は3着。言葉は悪いが、自分だけ届く競走を反省した。
 準決は同郷の先輩・川口満と同乗。初日のレース内容を深く反省したのか、打鐘から2車で先行。奈良基が外から襲いかかるが突っ張り、主導権を守り通した。結局、小野裕にまくられ9着。着は悪いが気持ちは伝わってきた。「先行してこの着は力がない証拠ですね」。
 最終日も川口と同乗。前を取って、いったん7番手に引く展開。打鐘前に一気に巻き返すと最終ホームでは先頭に躍り出た。川口が1着で2着はライン3番手の小室貴。鈴木は末の粘りを欠き3着に終わった。息を切らして敢闘門に戻ってきた。顔は真っ赤。すべてを出し尽くしたようだった。クールダウンが終わっても、汗は流れ、顔は真っ赤なまま。「3着だったけど満足感があります」と振り返った。確かにその表情は苦悶に歪んでいたが、やりきった清々しさがあったのも事実だ。
 来季はS級復帰が決まっている。「気持ちの問題です。もっと強い気持ちを持たないと上では戦えない。2度とA級には戻りたくないですから」。今開催は期待に応えることはできなかったが、2日目、最終日は見せ場を作った。「見せ場を作るだけではダメです。プロである以上、結果を残さないと」。
 能力の高さは誰もが認めている。もっと激しく、もっと貪欲に。最終日のやりきった姿を見れば、期待できそうだ。


平塚競輪場より