インタビュー

加倉正義 福岡 68期 S級2班
実力者が半年限り? のA級戦へ
デビューから約1年4カ月でS級に昇格しS級1班に定着。長らくG戦線をにぎわせ、1998年には競輪祭を優勝したタイトルホルダーが来期からA級に降格する。「21歳の半ばでS級に上がったから…。25年ぶりのA級になるのかな(苦笑)」。

加倉正義 福岡 68期
2年前の静岡ダービーでは一次予選を突破。去年や今年に入ってからもコンスタントに3着以内になるなど、決して著しく脚力が落ちたわけではない。しかし「昔よりも着を拾えなくなってきた。今までだったらどんな展開になっても2、3着には入れる感じがあったけど。今は展開が向かないと厳しい。後方に置かれてしまうと完全に勝負権がなくなってしまうんです」と話すように"厳しい展開をしのぐ脚"がなくなってきたことが、S級点を確保できなかった要因のひとつだと分析する。『点数が下降し、それに伴って番組が厳しくなる。すると展開も向かないことが多くなり、その結果大敗が増えてまた点数を落とす』という負のスパイラルに陥ると、なかなか抜け出せないのが"輪界あるある"。加倉ほどの実力者でも、この壁を破ることができず、今回のA級陥落という結果になってしまった。
それでも今年に入って多少持ち直し、5月中旬の時点では、今期のS級点確保が十分に狙える状況だ。「A級にも強い子が多いし、レベルが高いのは知っている。さすがに2期続けてだと(戻ってくるのが)厳しくなる。絶対に1期で留めないと。だからなんとしても今期はS級点を取りたいんです」と今は人一倍の集中力で一戦一戦に臨んでいる。「チャンスが来ればモノにできているし、いざという時には自分から仕掛けていこうとい気持ちもある」と上向き気配で勝負の6月を迎えており、その走りには注目が集まる。
5月下旬の時点では、50歳以上のS級選手は15人いる。神山雄一郎はまだまだ第一線で奮闘しており、他にも同年代や年上の世代がS級で活躍中だ。加倉は"まだ"47歳になったばかりで、老け込む歳ではない。また、過去には当時A級だった大竹慎吾が49歳で3場所連続の完全Vを達成し、S級にカムバック後も活躍していた前例がある。
「自分も『あの半年の経験が活きた』と、あとから言えるようにしたいですね(笑)。頑張りますよ」。またS級で活躍するために。加倉の気の抜けない戦いはこれからも続く。


久留米競輪場より