インタビュー

堀兼壽 岐阜 105期 23歳
苦難を乗り越え
前検日から明るく笑い、積極的に取材に応じる姿が印象的だった。調子はもちろん、自信も取り戻しつつあることの証しである。「精神的にも落ち込んでいたけど、最近はやっといい感じになってきましたから」。うつむき加減だった頃とは別人のよう。イケメンは前だけを向いた。

写真は堀兼壽(左)、右は同期の野口正則
どん底に陥ったのは昨年9月。高校時代から自転車には乗っていたが、プロの選手になって初めて腰痛に襲われた。せっかくのS級なのに、10、11月は4場所欠場。痛みとの戦いが続いた。「力が入らなくて練習ができなかった。少し良くなって練習すると、また駄目。プールでトレーニングしたけど、体力を落とさないためだけでしたね」。まだ20代前半。不安しかなかった。


治療や周囲のアドバイスにより戦線復帰。だが、本来の状態ではなく、降級したA級でも思うような成績は残せなかった。「腰が悪いから仲間と一緒に練習ができない。自分のペースでやると甘えも出てしまって…。自転車に乗ることが嫌いになるほどでしたし、自分のレースのVTRを見るのも嫌でしたね」。S級では100点近くの競走得点をマークしたこともあったが、いつの間にか90点を割り込んだ。
しかし、今は違う。5月末の四日市では連勝で決勝に進出。この6月の大垣も1着と2着で勝ち上がった。「やっと体と自転車がつながってきた。自分の体感よりタイムも出ている。師匠の永井(清史)さんとの練習は日曜日だけが休み。その休みがレースと重なるときついけど、今は本当に競輪が楽しい」。
もちろん目標はS級復帰。「S級のレベルはタテもヨコも違う。でも今度上がったらA級には戻らないようにしないと。しゃがんだ分だけ大きく飛びたい。とにかく腐ったら終わりですからね」。苦難を乗り越えた男は、きっと強くなっていくはずだ。


大垣競輪場より