インタビュー

松本貴治 愛媛 111期 S級2班
伊予の大器、いざ!
伊予に久々に現れた強い本格派先行だ。2018年6月18日からの松山FIは、オール2着の準Vでも結果以上に地元の舞台で存分にスケールの大きな走りを見せつけた。

松本貴治 愛媛 111期
初日特選は、和歌山の徹底先行・稲毛健太相手に主導権を渡さなかった。準決、決勝もそのスタイルはブレることはなかった。抜かれたのは無風で回った初日、決勝の久米康平(徳島)と準決の新井秀明(熊本)だけ。「ラインで決めるのが僕の仕事」とふてぶてしく言い放ったコメントを3日間、有言実行してみせた。
中学時代は、柔道をしていたが、インターハイで活躍する自転車部がある松山聖陵高校の案内をみて進学を決めた。高校で初めて競技用自転車にはまった。競輪選手がレースで走る姿も生でみて、そのかっこよさに憧れた。同級生だった日野博幸(103期)と受験したが失敗。朝日大学に進んで自転車競技を続けた。
松本にとって大学の4年間は大きな経験となった。「高校から始めた競技で、緊張や気負いばかりが先走ってイメージ通りのパフォーマンスができなかった。でも大学では練習通りの力が出せるようになった。競技に慣れることで緊張することが少なくなりました」とメンタルの強さを身につけ、111期で晴れてプロレーサーとなった。
前述の地元FI2日目には記者推薦によるオールスター出場が決まった。GI初出場への感想を求められても「走ってみないと実感はないし、いつも通りに走るだけですね」とそっけない。このずぶとさが、松本が短期間で頭角を現す原動力でもある。ただ111期には南潤(和歌山)いう怪物がいる。チャレンジでは特別昇級を止められるなど何度か連勝を止められ、ルーキーチャンピオンでは愛媛3人による結束を単騎であっさり粉砕された。「悔しいというより刺激になる存在です」と学校時代にゴールデンキャップをかぶったプライドものぞかせながらライバルの存在を前向きにとらえる。
7月16日の競走を終えて約1カ月のインターバルを置いて参戦するいわき平オールスターへ「計画通りに練習はできた。やることは自分の力を出し切ること。いつもの競走と何も変わらないと思います」と意気込むことはない。平常心で挑む伊予の新星がどんな輝きをみせるのか。いざ出陣だ。


松山競輪場より