インタビュー

野見泰要 101期 A級2班 岡山
プロとしての自覚
 東日本での知名度は低い野見だが、先行にこだわる姿勢は見ていて清々しい。一躍?その名を知らしめたのは9月の小倉。予選で売り出し中の皿屋豊(三重)と激しい先行争いを演じ、皿屋は5着、野見自身も6着に敗れたが、人気の皿屋を潰した。「潰すだけではダメなんですよね」と反省の言葉を口にした。

野見泰要 岡山 101期
 そんな因縁ある2人が、いきなり10月平塚競輪の予選で対戦した。メンバーを見るなら野見は「小倉のことがあるので、僕を凄く意識していると思います」と前検日から火花を散らした。レースは赤板前で皿屋がまさかの落車。拍子抜けの格好になったが、野見が先行。強力なライバルがいなくなった分、野見はマイペースで駆けることができた。しかし、末の粘りを欠き5着。「あの展開で3着に残れないのだから、力がない証拠。情けないです」と唇をかんだ。
 この時、野見の心境の変化を感じとった。それは何か?「今までの僕なら負けてもヘラヘラしていました。でも本当に悔しい。ふざけんじゃないって自分自身に言い聞かせました」。野見のイメージは、優しくていつも笑顔を絶やさないものだったから、正直驚いた。しかしこれはプロとして当然のことだろう。負けて悔しくないのはプロとして失格。それがやっと分かった瞬間だったかもしれない。2日目は打鐘から強引に叩いて先行。太田真一のまくりに屈したが3着。最終日は7番手に置かれ、まくり不発。初日、2日目は見せ場を作っただけに、最後が残念だった。
 1年前、倉敷市内にトレーニングルームを完備した新居を構えた。「そんな大したものでじゃないです。ただ、自宅に練習できる環境があるのはいいですね」。ユニホームの上からでもわかるほど、胸板は厚くなり、下半身もたくましくなった。「子供も生まれたし、家も建てた。もっと頑張らなければいけないという責任感ですかね、そういったものが出てきた感じはします」。プロとしての自覚が芽生えた今、野見の動きに注目していきたい。


平塚競輪場より