インタビュー

清水裕友 山口 105期 S級S班
KEIRINグランプリ2018 最後の切符
誰もがビックリしたが、一番驚いたのは清水本人で間違いないだろう。競輪祭が始まる前は、グランプリの事など考えもしなかったはずだ。しなかったは語弊があるかも知れないが、少なくとも賞金で出ようとは思いもよらなかっただろう。 ましてや今回から勝ち上がりのシステムが変わり、ポイント制になった。その1走目にいきなり8着。「これで清水も終わったな」とライバルたちは口を揃えた。レース終了後、清水の落胆する姿があった。しかし、そこからが違った。1時間も経たない内に、エネルギッシュな顔に戻った。「残りのレースに集中するだけ」と言葉は少なかったが、口調には力強さが感じられた。予選2走目。もう後がない、崖っぷちの戦い。そこで魅せてくれた。1走目が嘘のような動きで圧勝。2次予選に進んだ。2次予選快勝し、準決勝も1着でクリア。決勝は太田竜―香川雄の四国勢とは別線を選択。レースは脇本雄が先行し柴崎淳―浅井康が追走。清水はといえば、最終ホーム7番手。

清水裕友 山口 105期
 どうみても途中までは凡走に見えてしまった。だが、4番手からまくった平原康が柴崎のブロックに遭っている間に、2センターから外をまくり3着。だがこの時点で本人はグランプリ出場とは思っていなかった。敢闘門で出迎える仲間から「グランプリ、グランプリ」と言われてもキョトンとしていた。「まさか自分がグランプリに出られるなんて。今年もまた自宅でテレビ観戦だと思っていたから」。時間が経っても実感は沸かなかったようだ。
 9月のGII「共同通信社杯」で準優勝してから脚光をいっそう浴びた。166cmと小柄。コンタクトスポーツの競輪にあって、体の小ささは不利になる。しかし清水には、それを上回る勝負根性がある。そして冷静にレースを見極める力もある。絶対に先行するわけでもなく、流れの中で対応できる柔軟さが清水の持ち味であろう。そうそうたるメンバーが壇上に並んだGPの前夜祭。車番を決める最後はもちろん清水。残ったカラーボールは緑だけ。それでもそれを楽しみながら手に取って、集まったファンを沸かした。近畿が4人。関東が2人。浅井、新田と清水が単騎になったGP。過去、初出場の選手は緊張からか本来のパフォーマンスができていなかったが、清水ならそれもなし。何しろ肝が据わっている。思い切ってGPは清水から狙ってみてもいいかもしれない。


小倉競輪場より