インタビュー

瓜生崇智 熊本・109期・A級1班
苦難を乗り越えた好素材が間もなくS級の舞台へ
デビュー3年目を迎えた前期、「やっと取れたと思います」と言うように期の得点を93点台に乗せて、初のS級昇格を確実なものにした。

瓜生崇智 熊本 109期
一度もS級へいけない選手はたくさんおり、デビュー4年目でのS級昇格は決して遅い方ではない。しかし瓜生の場合はもっと早く(S級に)上がれたはずという声が周囲から聞かれる。
そもそも瓜生は高校総体1kmタイムトライアル1位、JOCジュニアオリンピックカップ1kmタイムトライアル1位・ケイリン1位など、アマチュア時代には輝かしい成績を残した。そして秘めている潜在能力に加えて環境も抜群だった。デビュー前から松川高大(94期)が公私にわたって弟分のように可愛がり、そして瓜生も「兄貴」と慕って厳しい練習に付いていき、脚力と精神面を磨いていった。
このまま順調にいけば、とんとん拍子にS級までいってしまうと多くの関係者が思っていたが…。
2016年4月に熊本地震が発生し、瓜生にもその影響が降りかかった。「震災以降はみんなバラバラになってしまって。それからは、なかなか揃って練習することがなくなりました」。当時イケイケだった野口大誠なども在籍していた「松川グループ」が事実上なくなり練習環境に変化が生じてしまった。
震災から3か月後の7月にプロデビュー。素質の高さでカバーして9月にはチャレンジを卒業したが、その後は環境の変化やケガの影響もあって1・2班戦で足踏みが続いた。
心が折れそうになったこともあったようだが、それでも腐らず地道に努力を重ねた。「今は師匠の合志(正臣)さんに練習を見てもらい、勉強させていただいている。それが成長につながっていると思います」と新たな練習環境の下で一からやり直し、徐々に成績も上向いてきた。そして前期、満を持してS級点確保に成功したのだ。
「S級に定着するためには今期が大事になる」の言葉の通り、今期は是が非でもS級点を確保したいところ。そして「S級選手として、まだ(プロとして)走ったことのない熊本競輪でレースをしたい」という夢を実現するべく、努力を継続しているところだ。
今期初戦の佐世保では「フレームが全然合わなくて…」と久々に決勝進出を逃す嫌なスタートとなったが、次走の西武園ミッドナイトでは自転車を元に戻し、まくり連発で無傷の優参に成功。悪い流れを経って上昇気流に乗せた。
数ヵ月後に迫ったS級戦を見すえて内容を求めつつ、今期もしっかり結果を残す。


熊本競輪場より