インタビュー

井上嵩 愛知・97期・A級3班
内助の功で復調急
今期はチャレンジ戦ながら、6場所消化し、6連続優出、優勝2回と高値安定をキープしている。「今は練習の裏付けがあるから、レースに参加しても楽しいですね」と、思わず笑顔がこぼれた。「これも、嫁の手助けがあったから。食事など健康管理に気を遣ってくれたおかげで、練習できるまで体力が戻ったというのが大きいです」と語る。

井上嵩 愛知・97期
高校時代から心臓疾患をかかえていた。「普段の生活でも急な行動を起こすとブラックアウト(脳への酸素供給が減り、意識が飛ぶ)する危険がある。手術するとペースメーカーを入れないといけない。プロ選手を目指す自分にとって、手術という選択肢はなかった。心肺機能を強くするために、いろいろなトレーニングに励んだ」。もともと身体能力が高かっただけに、競輪選手としてすぐに結果を出すことになる。2012年京王閣競輪場で行われた「ヤンググランプリ」に出場を果たすと、2015年の前期にはS1班まで登り詰めることができた。「その頃から、もう、このまま逝ってもいいや~という気持ちが芽生え、酒を浴びるほど飲むようになった。心臓に悪いと知りながらタバコも若さに任せてバカバカと吸っていた」。不摂生のツケはすぐに成績に現れる。「S1班になった時には体がいうことを聞いてくれなかったし、(2015年7月)愛知に移籍する頃にはどん底を経験しました」。
立ち直りのキッカケが移籍を前後しての結婚だった。「もう、自分1人じゃない。その気持ちが大きいですね。今、嫁が妊娠中でして、家族3人のためにも頑張らなきゃと思っています」と照れ笑い。「チャレンジで若手と真っ向勝負をすることでパワーアップできると思う。早くまた、S級に戻りたいですからね。自分はS級1班になっただけ。S級に置き忘れてきたモノを拾いにいかなきゃと思っています。今期がスタート、気持ち的には113期のつもりで頑張ります」と、今後の抱負を語ってくれた。
実際、1月完全優勝を決めた久留米では、冷え込み重いバンクコンディションの中、11秒台のまくりを決め、3月の佐世保では「後ろが付いてきやすいように」と、打鐘過ぎ4コーナーの下りを使って「ヤワに踏んでいるけど」後続が離れる状態で、パワーアップは顕著。連勝を重ねて、S級に復帰する可能性すらみえてきた。


佐世保競輪場より