インタビュー

坂口楓華 京都 112期 L級1班
姉とともに夢を追う「3年計画」
3月18日から行われた向日町の名物S級シリーズ、「日本名輪会カップ・第28回中井光雄杯」。ガールズケイリンに参戦した坂口は、1月開催に続いて2度目の地元戦。初日の予選1は最終ホームでまくって出たが、田中まい(千葉)に番手にはまられ、ゴール前で差されて2着。2日目の予選2では中団からまくり上げたが失速し5着。際どく決勝に勝ち上がった。すると、レース後は控室に一目散。この日行われた116期(女子8期)の卒業記念レース決勝戦に、坂口の姉・聖香さんが出場していたのだ。聖香さんは好位から外を伸びて3着。見届けて戻ってきた坂口は「すごいですね…姉の応援をしすぎたから、自分が5着になっちゃったのかな。持っていかれました(笑い)。自分も卒業記念は決勝3着だったので、姉妹で名前が残るのはうれしい」と興奮気味に語った。

坂口楓華 京都・112期
聖香さんは、シクロクロスで日本一に輝いた元女王。坂口もロードを中心に自転車競技に取り組み、姉に先んじて競輪界に飛び込んだ。「姉は7月にデビューする予定ですが、自分にとってはライバルではありません。海外でも活躍していた姉は、競輪選手だけは100%ないと言っていた。でも自分の姿を見て、かっこいい、尊敬すると言ってくれて、選手の道を選んだ。自分は姉を尊敬しているし、お互い刺激し合って頑張っていきたい」。1人暮らしの坂口にとって、学年で2つ上の聖香さんの競輪界入りは心強い限り。「自分は外食もしないし、いつも自炊。姉がいれば家事の負担が半分になる。今まで以上に練習に集中できる」と、最強のパートナーを得ることにもなるからだ。
さて、最終日の決勝戦。先行力断然の加藤恵(青森)が力強く逃げ切って、デビュー初Vを果たした。坂口は終始、加藤に付ける形になり2着。「自分の力が付いている実感はある。少しずつだけど。毎回レースで自分が進化しているのは分かる。負けたとしても、何も得られないことは決してない。(優勝した同期の)加藤さんもケガがありながら、コツコツ努力を積み上げてきたのを知っている。自分もコツコツやることをやめるわけにはいかない」。地元初優勝は次回以降にお預けになったが、ファンに名前をしっかりアピールできた。
坂口自身は今回の結果はもちろん、1月の玉野ミッドナイトで2度目の優勝を3連勝の完全Vで飾るなど、着実にステップアップしている。そのベースとなるのは、未来の自分をデザインした「3年計画」だ。「強い選手に、1年は体を作る年に充てたと聞いたんです。自分はまだ21歳だし、若さは取り柄だと思う。だから、この1年は我慢して、力を付ける競走をしようと。ロード出身者は総じて基礎体力が足りないので、ウェートトレーニングをやって体重も10キロ近く増やした。あとはペダリングやペース配分、そこがかみ合えばもっと戦える」。見据える3年後の目標は、ガールズグランプリ。「自分は必ず大舞台に行くと思っている。意志だけは強いと言われているので」。あるいは、姉妹で―。信じる先に道は開ける。その目は、まっすぐ前を見つめている。


向日町競輪場より