月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
直送!競輪場便り
大塚健一郎 大分 S級1班
マーク屋 大塚健一郎
迷うことはなかった。大塚は初日特選の番組メンバーを確認すると「南(潤)君へ。鈴木(竜士)君もいいレースをしているけど、今の勢いとバック本数の多さで選ばせてもらうよ」と即決。地区の目標が不在なら、一番強い先行選手の番手を競りになっても主張するのは「マーク屋」の看板を掲げている以上、当たり前のことだった。
当然、落車と負傷は数え切れない。この日も椎木尾(拓哉)との競りで押し上げによる落車失格。早々と四日市を去ることになった。これまでも長い低迷期を経験してきただけに「ケガは全身。どこが悪いのか分からないぐらい」と苦笑する。現在のスピード競輪において競ることは「ナンセンス」と分かっていても、それが自分のスタイルであり、生き抜くための戦術だと信じている。「マーク術を進化させていけばよいと思っている。まだまだなんだけど、そのようなアプローチとトレーニングはしているんだ」。
今年2月の地元別府のGI・全日本選抜競輪では、最終日の特選で待望の1勝を飾って優勝したかのように喜んだ。ギリギリでつかんだ出場切符。いろいろな思いが込み上げた。「レースは竹内(雄作)君が先行。任せた古性(優作)君がまくってくれた。今の自分があんないいメンバーで1着を取れるとは思っていなかった。マーク屋をやってきて、ファンには車券で迷惑ばかりかけてきたけど、戦法を貫いてきたご褒美だよね」。貪欲な気持ちと戦う姿勢は変わっていない。
そして何より再びS級上位戦線で戦いたいという思いがあるから結果も出始めている。3月の松戸FIでは実に3年半ぶりの優勝。7月に地元別府で開催されるサマーナイトフェスティバル出場権利を取るために、ケガの痛みも乗り越えてみせた。「松戸の前の岸和田で落車。ろっ骨を折ったんだ。それが痛んだが地元のビッグに出るために勝負したかった。これからも一つ一つ上がって行きたいね。マーク術の答えが見つかると信じてやっていくよ」。競輪はスピードだけではない。レースを面白くしてくれる選手のひとりであるのは確かだ。


四日市競輪場より