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加倉正義 福岡 68期 S級2班
衰え知らずの男が貫禄を示して500勝
 4月10日の小倉競輪、初日11Rを勝利し通算500勝を達成した。今年3月の澤田義和(兵庫)以来、通算31人目の快事で、同じく500勝間近におりながらも足踏み状態が続く倉岡慎太郎(熊本)や高木隆弘(神奈川)らよりも一足先に節目を迎えた。
 ここまでは紆余曲折あった。昨年7月には長らく張っていたS級の座を手放し約26年ぶりにA級に陥落。走る前には「若い選手がどんな駆け方をするのかわからない…」と不安を口にしていたが、いざ走ってみるとさすがにものが違った。
 若手機動型の踏み出しにピタリと続き、絶妙な加減で的確に仕事をこなし、最後は余裕で前を交わす。タテ脚も冴えに冴え、何でもできる追い込みタイプの典型的な見本として半年間、躍動し続けた。
「A級で若い子たちと一緒にやったことがいい経験になった。あとはやっぱり、勝ちグセを付けられたことが良かったのでしょうね」
 分析通り、今年1月にS級に復帰後、最初の数場所は流れを取り戻すまでに時間を要したが、2月の奈良記念で2つ白星を重ねると、あれよあれよと順調に500勝までこぎつけた。
「意識はしていましたが、もっと時間がかかると思いましたけどね。練習に付き合ってくれる後輩たちや周囲の人たちに感謝ですよ」
 昨年、練習環境に変化があった。自身の子どもが競輪選手を目指すこととなったのだ。
「学生時代に自転車競技をしていなかったし、競輪選手にはならないと言っていたからビックリした」と当初は困惑したというが、目指すと決まった以上は自分の練習時間を割いてまでミッチリと付き合うようになった。
 新たな刺激が入ったことで当然、ヤル気は倍増した。同時に加倉を慕う後輩たちには甘いところを見せられない、大きな責任感も背負った。
 練習仲間の古閑良介や高倉俊宏らの久留米勢は口をそろえて「バンクでも年長の正義さんが一番強いし、ずっと練習している」と証言する。
 まだ47歳。老け込むどころか伸びしろはたっぷりある。「50歳を過ぎてもS級でやっている人が増えたし自分も。S級のもっと上で頑張りたい」
 生きた教材は、まだまだどん欲に進化を続け、白星を追求し続ける。


小倉競輪場より