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大西貴晃 大分 101期
練習環境を整え成績が急上昇
 4月豊橋の優勝を皮切りに同月の佐世保、5月岸和田と3連覇。いま勢いに乗っているひとりだ。
 去年は一年間S級に在籍するも、レベルの高さに阻まれ打ちのめされた。自力で戦うことに限界を感じラインの3番手を固めるケースもあった。「S級ではあまりに結果が出ないからラインもできずに単騎になったりで…。後半は腐っていましたね(苦笑い)。タテがまったく通用せずに勝てなかった」
 と、なると練習にも身が入らない。負け癖が付き成績も点数もガタ落ちする負のスパイラルに突入。そのままA級へ陥落し一時はどうなるかと思われた。
 そんな状況を案じたのか、山崎翼(95期)と高橋義秋(96期)、2人の先輩が声を掛けてくれた。大西の師匠は菅原晃(85期)だが、元をたどればみんな三好林太郎(46期・引退)の門下生。家が近所ということもあり、一緒に練習をしだした。「それまでは、バンクで会う以外はみんな一人で練習していました。お互いに我を張っていた部分があったのかもしれません。でも〝もういいじゃないか、お互いのいい所を引き出そう〟って話になって、みんなで街道モガキをやるようになった。それが1月でした」
 山崎の持つ天性のダッシュ力に大西の後半の粘り腰、そして両面を兼備する高橋の器用さがうまくマッチして、それぞれの良さが色濃くでるようになった。さらに最近は、山崎の弟子の阿部将大(117期)が3人をバリバリと引っ張り、相乗効果をもたらしているという。「阿部は(競輪選手養成所に入って)いないけど、みんなで目的を持ってやれている。もっと早く集まっておけばよかった」と、結果も出だし勝ちグセが付いたことで気持ちはよみがえった。
 失格さえしなければ来々期のS級点はほぼ取れる見込み。来年1月にS級に復帰するためにも、7月からの半年間は勝負どころとなる。「来期もA級です。来年、S級に戻れた際はヨコの動きを多く出したい。師匠から『ヨコができるんだから、イン粘りとかそういうレースを増やしてもいいんじゃないか』と言われて。ただ今は自力でやっても調子がいいので、さばきを織り交ぜながら内容重視でやっていくつもり」
 S級はタテ足があってこそヨコの動きが生きるもの。入念に自力の足を磨いて精度を高め、この先へ向けて着々と準備をしていく。


別府競輪場より