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武藤龍生 埼玉 S級1班
「古風な走り」で一歩ずつ前進
 着実に力が付いている。5月に静岡でS級初優勝を飾ると、さらに立川で連続V。勢いそのままに、6月6日から行われた四日市ナイターG3「ベイサイドナイトドリーム」で、決勝3着と活躍を見せ、続く24日からの岸和田「サテライト湖南カップ」に参戦。岸和田ではテオ・ボス、マティエス・ブフリのオランダ最強コンビにはかなわなかったが、表情は明るい。この開催をもって終えた19年前期は、自己最高の競走得点となる106.46点をマークしたからだ。とはいえ「変わったことはしていない。ラインのおかげでVもできたし、四日市も優勝した山岸(佳太)さんの番手を回らせてもらったので」と、謙虚さは相変わらずだ。
 若手の機動力型が次々に頭角を現している関東にあって、追い込み型に求められるレースのクオリティーはより高くなっている。ラインに恵まれて好成績を残すことは可能でも、そこで周囲に認められなければ自分のポジションはできない。ひと皮むけるために、師匠であり、父でもある嘉伸(59期)や、兄デシで叔父の篤弘(95期)の教えを受けた。厳しい攻めで鳴らした名マーカーの父は、武藤の憧れ。「父もそうだが、他県では神山拓弥さん、芦澤辰弘さんにアドバイスをもらった。気持ちで何とかしないといけないと。芦澤さんとは練習も一緒にやったんで」。レースで位置がなければ、番手切り込みも辞さず。強気な立ち回りで存在感を放つ芦澤の姿は、武藤にも大きな影響を与えているようだ。
 1班に定着した以上は、目標も高くなる。「やはりG1に出たい。四日市の決勝3着で、競輪祭の権利は取れたってみんなに言われますけど、それならもっと脚力を付けないと」と目を輝かせる。その上で「まずは自分のスタイルを確立させること。今回、専門紙の自分の選手紹介欄に『今どきにすれば古風な走り』と書いてあったんですが、父のイメージを受け継いでそういう評価ならうれしい。ラインのおかげでここにいるので、自分がいることで自力選手が安心して駆けてくれるような、信頼される選手になりたい」と、未来の自分をデザインしていく。8月の地元・西武園記念の出場も決まり、気合はさらに増す。スター街道を突き進む武藤に、これからも注目したい。


岸和田競輪場より