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皿屋豊 三重 S級2班
さらなる飛躍へ
競走得点が右肩上がりで伸びてきた。昨年1月に初めてS級に昇級。最初の期こそ実力を結果に結び付けることができなかったが、落車明けの9月以降に90点台を抜け出すと、今や106点にまで到達した。しかも、自分のスタイルを崩すことなく、先行主体の走りだから立派だ。
「こんなところまで上がるとは思っていなかった。警戒されていなかったとはいえ、できすぎです」。同期で同じく30代デビューの野口裕史(千葉・S級1班)から「やっと本来の力を出してきましたね。弱い選手ではないと思っていました」と、S級トップで先に活躍する男から賛辞を贈られたこともうれしかった。
昨年1月のS級デビュー戦は散々だった。見せ場なく⑨⑨⑨着。しかし、最低成績だったからこそ決断もしやすかった。「悲惨でしたね。これでは勝負にならないと思ったから、練習方法から自転車まで全てを変えました」。自慢の地脚にスピードを加えるための練習。ウエイトトレーニングで筋肉を増強し、今は当時より3キロ増えたという。「ナショナルチームの練習も取り入れたりしました。成果が出るまで半年かかりましたね。結局、どれが一番効果があったのか分からないのですが、相乗効果だったと思います」。
今年の目標は記念の決勝進出とFI優勝。特にFIについては10月のシステム障害による〝不可抗力〟によってVチャンスを奪われただけに早めに達成したい。「周囲にはなぐさめてもらったけど、呆然としました」。西武園で①①着で決勝に乗りながら、最終日は開催されず。初タイトルをつかみ損ねた。
年齢はすでに37歳。公務員を辞めて30代半ばでの競輪挑戦。当然、周囲の反対はあったが、今は当時を大きく超える収入がある。「家族がモチベーションになっている。ケガの可能性があって安定はしてない仕事だけど、以前よりは奥さんのグチは減ったかな」と喜ぶ。さらなる飛躍の年。「年齢は行ってるけど、高校時代は帰宅部だったし体は使い減りしていない。もっと上に行ける」。有力自力型が少ない中部地区でもあるだけに、期待は膨らむばかりだ。


名古屋競輪場より