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島川将貴 徳島 109期
逆境を力に変えて
 新型コロナウイルス感染症の影響により、競輪界は大打撃を受けた。拡大防止のため、GI「日本選手権」をはじめ、開催は軒並み中止、あるいは開催しても無観客という状態が、長く続いた。今もまだ完全に元に戻ったわけではないが、徐々に平常に近づいているのは救いだ。
 5月末に行われた豊橋「全プロ記念競輪」には、S級のトップ選手が久々に全国から集結。3か月前の同所「全日本選抜」が4日間で3万2000人超の観客を集めて盛況だったことを思うと、この豪華メンバーで無観客は寂しい限り。それでも、この開催が久々の出走となる選手も多く、レースは白熱したものになった。初日は一番時計の10秒6でまくった6Rの島川の出来が光った。坂井洋(栃木)が先行、野口裕史(千葉)が最終ホームで強引に仕掛けるが不発、すかさず島川が7番手まくりを放つと、後続をちぎって圧勝。「(押さえにきた)野口さんの動きを見て後ろになってしまったのは反省。坂井君もスピードはあるが、まくれると思った。でもこんなに時計が出たのはびっくり」と、最終日が中止になった4月の立川以来の実戦を白星で飾り、溜飲を下げた。
 準備しては直前に開催中止の繰り返しで、モチベーションを下げる選手も多かった。島川もまたコロナ禍で約2か月、レースを離れていたが「やらなければ下がるだけ」と、その期間の過ごし方が今後を左右することは分かっていた。本人いわく「ぼくは元々バンクに入り浸っていますから。ずっと練習していました。家にいてもすることもないし」とのこと。徳島の若手は「島川さんは朝6時から夜の7時までずっと競輪場にいます。行けば必ず顔を合わせます」と証言する。まさに練習の虫なのだが、「中止の間は普段やらないことをいろいろやっていた。街道に行ってみたり。こんなに空くこともないし、いい方に考えて」と、さらなるチャレンジも行っていた。
 ペダリングやフォームが、目下の課題。「常に意識しているんだけど、モガくとどうしても汚くなる。強い人はモガいても乱れない」。さらに戦法的には、やはり先行にこだわりを見せつつ「逃げたら、最低確定板(3着以内)ですよね。ただ、逃げ切ろうと思うと、欲が出てペース駆けになっちゃう。3着までに入るつもりで駆けないと」と、力を出し切ることに主眼を置く。その上で「目標はGIだけど、まだGI慣れしていない。慣れていかないと」とも。練習に打ち込んだこの2か月の成果は、必ず後半戦で出る。島川の逆襲に注目だ。


豊橋競輪場より