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中村翔平 福岡 A級3班
プロへのこだわり
 叔父が瓜生正義選手で、幼いころからボート選手にあこがれを抱いていた中村。高校を卒業後に迷わずボートレーサー養成所のテストを受け、合格率2.5%といわれる狭き門を突破した。「でも、現実は思った以上に過酷でした。訓練自体は何ともなかったのですが、(ボートレーサー)養成所に入って、何がつらいって、減量が一番きつかった。なんとか体重を52キロまで絞ったのですが、精神的にやばいという感じになって、体調も崩してしまった」ため、4か月で退所することになった。
 その後、警察学校に入学。福岡県警の交番勤務を経て、警備課テロ対策班に所属する。「警官時代のこと、特にテロ対策班のことについては、申し訳ありませんが、ノーコメントでお願いします。決まりで詳しくは言えないのですよ」と苦笑い。安定した、第2の人生を歩み出すことになる。そんな中村に再び転機が訪れる。「高校(鹿児島実業)時代に、一緒に野球をしていた野田昇吾が(2015年に)西武ライオンズに(ドラフト3巡目)指名を受けたのですよ。自分と違って、プロの道をあきらめず頑張っていた野田君をみて、自分はこのままでいいのかと思った」という。
 プロ選手の道を模索する中で、出逢ったのが競輪選手だった。高校時代は野球で甲子園出場を果たし、さらに警察時代にきたえていた肉体を駆使して一発で競輪選手養成所に合格。117期として今年5月にデビューを果たした。「何が楽しいかって、自分の思った通り、納得するまで練習ができて、腹いっぱいに飯が食えることです。食べた分、体も大きくなって、パワーを生み出しますからね。正直、練習はきついですよ。でも、覚悟は決めていましたので」と、あこがれのプロの世界に飛び込めた喜びをかみしめる。
 5月の小倉のルーキーシリーズで373、7月地元の久留米戦で1⑥3、続く武雄で4①と初優出を果たしているが、本人は納得していない。「まだ、練習の力の3割も出し切れていない。本当に悔しいです。当面の目標は初優勝と思っています」と、前を向く。好素材がひしめく117期の中で存在感を示そうと現在、奮走中だ。


久留米競輪場より