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直送!競輪場便り
西川親幸 熊本 S級2班
10億円達成
先月の伊東共同通信社杯の開催中、西川親幸の通算獲得賞金10億円達成のニュースが入ってきた。ボートレースの松井繁は40億円が目前だが、ノンタイトルで、この賞金は競輪界では偉業だ。
数日後の玉野ナイターに参加していた西川親幸に話を聞いた。
「賞金的に言えばダービーの2着、3着が大きかった。あの当時は準優勝でも3000万円はあったからね。ふるさとダービーでも3着が2回あり、記念を3回しか獲れなかった選手にしては勝負強かったかも。落車は80回以上しているが、一度も骨折した事はない。転び方にコツもあるけど、小倉竜二や香川雄介は異常(笑)。あいつら、骨が折れていても痛いなんて言わないし、おかしいよ」
常々、家族に感謝の言葉を口にして、走りは昭和のマーカーだが、この面においては昭和の男ではない。「息子(東大の大学院卒)も東京で立派に社会人をやっているし、家の事で心配する事は全くない。これは、女房のおかげだし、言葉で言い表せない程、感謝している。貯金?女房が全部管理しているので、いくらあるか分からないよ(笑)。ただ、お金に執着心はないけど、プロスポーツ選手なら、賞金が評価の基準になるしステータスだと思っている」。地元のG1の勝ち上がりで同県の合志正臣と競ったり、九州の並びで折り合いが付かなかったり、競輪史を語る上でも存在感はあった。
「長く選手をやっていれば色々とあるよ。ただ、G1ホルダーが若くして引退するのはどうかと思うよ。俺みたいに努力で、ここまでやってきた人間からするともったいない。ヤマコウ、慎平、山田裕仁、市田佳寿浩と、まだまだやれたのに(爆笑)」
今の若手選手の事を聞いてみると「野球で言えば160キロの剛速球をカキーン、カキーンと遠くに飛ばす練習しかやっていない。畳の上で何千本も素振りする様な地道な練習はやろうとしない。先を見据えた練習もやらないし、目の前のレースを勝つ事しか考えていない。そう言う選手は、チャレンジやA級で良くても、S級上位に行ったら通用しない。そんな選手を何人と見てきたし、55歳で、S級にいる俺が言うのだから間違いはないよ(笑顔)」。
煩さ型のマーカーが少なくなってきたし、同世代の記者としても、これからも物申す選手で、居続けて欲しい。


玉野競輪場より